新春企画

2022年01月01日 新春企画

爺いどものお節介!?

水野 勝 (1961年入社)

筆者近影

 年男!? 聞いてとっさに意味が図りかねた。何でも7回目の年男だとか。
 一年の長さが1回目の年男12歳の「時」より7回目の方が早く過ぎて行くと理解するために分数を習った訳ではないが、それにしても昨今の時の流れはなんと早いことか!

 若者は未来を語り、中年は現在を生きる。老年は? 言わずと知れた、昔を懐かしむ、だ。
 懐かしんでばかりもいられないが、何を語っても、そう受け止められがちだと分かって語るのみであろう。

 先般、小5〜中3の生徒に『戦争を語る会』を提供しようという企画を立てたが、タイミングが悪くコロナ発生に遭って、実現は先送りになった(発案者は丸紅OBで、一緒に『ディレクトフォース』(欄外メモ参照)立ち上げに加わってくれた横井時久氏=㈱ハンターマウンテン塩原社長)。 その折、少年少女達に戦争体験の何を、どう語れば良いだろうと仲間6〜7名で話し合ったことを述べてみたい。

 学校の先生方は戦争を経験はしていないし、政治色に色塗られた話はもちろん適切とは言えない。
 教科書には通り一遍の叙述しか書かれていないので教えようがないのが実情である。
 では、爺さんの我々は何が語れるのか? 【事実、見たまま聞いたまま感じたまま】を【時代背景を客観的データに基づいて語る】のみであろうか。
 戦争体験といっても、我々の経験は、空襲体験ぐらいだ。小生の経験は1945年3月〜6月の神戸、明石での空襲経験だ。

 「昔、アメリカ、イギリス、フランス、オランダ、中国と日本が足掛け5年戦争していた」ここから話し出さねばならない。「へ〜、ホントに?マジ〜?」とくるだろう。戦争といってもアニメや漫画での感覚しかない子供達に、爆弾や焼夷弾、空襲や艦砲射撃と言ったってすぐに理解できない。これではいけないと「日本には石炭はそこそこあったけど、石油が採れなかったんだ。これでは工業の発展はできないし、6000万の人口を食べさせていけなかった、、」などと話しだしたら質問攻めになるだろう。本当はそうなって、時間をかけて説明してやるのが授業だと思う。エンドレスでも構わないではないか、それをやりたい。
 しかし、先生方は、そこまで求めてはいないようだ。第一にカリキュラムが求めていない。もちろん、爺いどもは課外授業の形でもいいと思っているが、生徒たちには放課後の別のプログラムがあって受け付けない恐れも・・。ダメな理由はいくらでもある。

 何とかしないと、子供たちが国際交流や、社会に出て国際舞台に立った時に、立ち往生してしまう。あるいは、海外はもはや存在しないものと決めてかかって、国内に閉じこもるとなると、なお悪いし、実際はその可能性が高そうに思えてならないのだが・・。

(みずの まさる・1961年入社・東京都在住)


【メモ】ディレクトフォース(一般社団法人) 会員 約600名 2002年設立
    代表理事 段谷芳彦 (傘下に) 百歳社会総合研究所
                  社会貢献活動グループ
                  企業支援活動グループ

(編集部註)
水野さんと問題意識を共有される横井さんが、小学生を対象に戦争体験を語られた経緯については、本ホームページに2020年3月2日付で「戦争について考える」という文章を寄稿いただいています。次のURLをクリックするとお読みいただけます。お二人の文章を併せ読んでいただければ、この新春企画の意義も倍増すると考えます。
https://www.marubeni-shayukai.com/letter/letter_main/entry-572.html


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