新春企画

2021年01月01日 新春企画

【新春所感】より一層世界で羽ばたく丸紅へ

板谷 近男 (1970年入社)

筆者近影(右端)

 初春のお慶びを申し上げます。
 丸紅でのエネルギーに満ちた懐かしき現役時代は徐々に遠ざかり、気がつけば私も今年72歳の年男です。我が生年は1949年、この年、新生丸紅株式会社(以下丸紅)が誕生し、通算18年駐在した新中国が建国されました。思えば我が人生の大半は丸紅と共にあり、70年に国立福井高専機械工学科(一期生)を卒業して入社、2014年9月の契約満了まで、会社内外の実に多くの方々の知遇を得て支えられ、管理・営業両分野を経験でき、ご指導とご協力、ご交誼にあずかりました。感謝の念で一杯です。
 一方、一念発起して大学の通信教育課程で経済学を本格的に学び直しました。2019年3月、69歳で慶應義塾大学経済学部を卒業したのですが、卒業論文は経済史の分野を選択、題目も丸紅と関係する「近江商人と近代日本(副題:湖東商人の流れを汲む丸紅の源流に関する論考)」とし、気鋭の指導教授、丸紅関係者や滋賀大教授等のご指導をいただきました。執筆中の16年に重篤な病魔に襲われ2年弱の中断を余儀なくされましたが、病院医師団の応援もいただいて無事脱稿し卒業試験に合格できました(大変おこがましいのですが、卒論抜粋を後刻投稿予定につき、お読み下されば幸いです)。
 昨今、近江商人系譜で同根の伊藤忠商事の快進撃が注目されています。該社は、昨年4月、企業理念を伊藤忠兵衛や古川鉄治郎を彷彿させる「三方よし」に改定しました。一方、目下の株価(上場来高値水準)・時価総額・今期利益(見通し)の3項目で三冠王を達成して念願の世界一総合商社をマーク、兎にも角にも近江商人の悲願達成はあっぱれといえます。
 ですが、1858年の創業から戦前(1941年三興設立による合同)までの史実に基づく私の分析では、伊藤忠系統の業績伸長期は1916~19年と34~41年のごく短期間なのです。18年に当主の座を明け渡し、21年に社名を伊藤忠の冠と決別こそしたものの、歴史を辿れば丸紅が伊藤忠を長きにわたり凌駕してきているのです。いま一度、多くの障害を克服し持続的価値創造と発展に尽力されてきた私たちの先達に想いを馳せ、丸紅ならではの経営基盤を強固にして、伊藤忠商事と並ぶ近江系総合商社の天下を創っていただきたいものです。

 「友がみなわれよりえらく見ゆる日よ花を買ひ来て妻としたしむ」(啄木)

 擱筆にあたり、新型コロナ禍の早期収束と輝かしい丸紅の栄光を切に願っています。       

(いたや ちかお・1970年入社・千葉県在住)

本編となるご寄稿は下記よりご覧いただけます


近代商人と近代日本-湖東商人の流れを汲む丸紅の源流に関する論考-
https://www.marubeni-shayukai.com/letter/letter_main/entry-664.html


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