社友のお便り

2017年06月03日 社友のお便り

病に負けず湧き上がる絵画への情熱

藤井 淥水 (1959年入社)

東京から駆けつけた小松元支店長と

 私は2006年、伝統ある洋画の全国組織で、日展への有力な登竜門のひとつでもある「光風会」(1912年設立、理事長は日本芸術院会員・日展理事長でもある寺坂公雄画伯)に入会し、2007年以降、同会が毎年国立新美術館で開催する公募展「光風会展」に毎年応募を続け毎年入選、更にその間、日展にも2度(2012年、2014年)に亘り、入賞の栄に浴しました(日展入選作や入選の経緯などについては、社友会HPでもその都度紹介していただきました)。

 そして今年は、私にとって、日展入選に劣らぬほど嬉しくも晴れがましい、2つの忘れられない出来事がありました。


元鉄鋼建材部・(左より)勢古口、
五十嵐両氏と筆者

 

 ひとつは、上述の光風会において、「会友」に推されたこと。今年5月の国立新美術館の光風会展入り口には、私が他の数名の方とともに、会友に推挙された旨が大きく掲示されていました。面映ゆいながら、地道な努力が評価されたという喜びがこみ上げ、本当に嬉しいことでした。これまでは一般会員として、毎回公募に応募し、審査を受けていたものが、来年以降は無審査で作品が無条件に出展されるのです。もっとも、会費も少し高くなるようですが(笑)。


 今ひとつは、初入選から満10年の今年、光風会の岡山支部である「岡山光風会」(代表・同会名誉会員、日展会員、岡山日展会会長・福島隆壽画伯。私の画道の恩師)の「第43回企画展」で、風景画専門の私ともうひとり、人物画専門の会員が選ばれ、新しい企画として「2作家の10年」という二人展が、去る5月16日から21日まで岡山県天神山文化プラザに於いて開かれたことです。F100号という大型サイズの過去10年の作品を、二人が10点ずつ出展した展覧会でした。私は、「ひとつのモチーフを決めたら、とことんそれを追求しなさい」という恩師福島画伯の教えを我ながら愚直なまでに守り、地元岡山の名刹「曹源寺」に的を絞って、初入選のときの山門の絵から始め、境内の風景を描き続けてきました。丸紅の先輩、同僚はもとより、絵画の同門、カルチャーセンターの仲間、曹源寺の檀家の皆さんなど、多くの方に見ていただきましたが、山門の重厚な感じから始まって、10年後の今は爽やかな画風への変遷を感じる、と感想を述べてくださる方も居て、望外の幸せを感じたりもしました。

 この10点の作品を見ていただくのが、今回の投稿の、実は主目的なのです。


 こんな嬉しいことが続きましたが、この間、順風満帆のことばかり、というわけではありませんでした。昨年4月初め、腹痛を覚え、MRIによる精密検査の結果、肝臓に直径4センチ、ピンポン玉ほどもあるガンが見つかり、6時間強の手術で切除に成功したものの、退院時に急性黄疸に見舞われるなど、危機的な状況を経て、ほぼ2ヵ月後の5月末に退院、という怖い経験もしました。

 それでも、絵の制作の遅れを何とか取り戻し、好きな絵の道を再開できたのは幸いでした。試練の中でも好きな絵を忘れることなく、今後とも精進を続けて行きたいと思っています。

10年の歩み(日展・光風会展)


長屋門
第92回光風会展(2006)

古民家
第93回光風会展(2007)

悠久の山門(曹源寺)I
第94回光風会展(2008)

山門(曹源寺)I
第95回光風会展(2009)

悠久の時(曹源寺)
第97回光風会展(2011)

悠久の時(曹源寺)
第96回光風会展(2010)

山門の秋
第44回日展(2012)

山門の秋
第98回光風会展(2012)

悠久の山門
第99回光風会展(2013)

悠久の時
第100回光風会展(2014)

紅葉の時(山門)
第101回光風会展(2015)

山門・秋爽
第102回光風会展(2016)

悠久の時
第103回光風会展(2017)


(ふじい きよみ・1959年入社・岡山市在住)


バックナンバー