新春企画

2024年01月01日 新春企画

年寄りの手習いと抱負

中重 賢治 (1964年入社)

大調和展会友推挙作品

 これまで趣味として50歳過ぎから登山を続けてきたが、70歳に会社人生を卒業して、さて何をするか考えた末に水彩画を始める。家の近くの絵の教室に通い、マンセル色相、明度、彩度の基本から学び苦戦の連続である。その後の霜葉会に出展する機会があり、そこで紹介された大先輩の伊東政朗さんが主宰されている船橋の「きらく会」に参加する。月2回の人物デッサンとクロッキーで質量を素早く描く訓練を積む。また手取り足取りアクリル画の教授を直接受けるようになる。同氏の勧めで、武者小路実篤が1962年再興復活された大調和展に2017年から出展するようになり、昨年6回目の入選でやっと会友に推挙される。今後は正式な会員になれるように一層精進していきたい。


キリマンジャロ山頂(左が筆者)

 私は20年前に緑内障を患い長い間点眼による治療を続けてきたが、近年眼圧が思うようには下がらない。女医さんから過去6年間のデーターを突き付けられ、「貴方は何年生きるつもり、存命中に失明するかも知れない」と手術を勧められる。昨年の11月右目の緑内障と白内障の同時手術を受け、無事に終了。眼圧は半分に下がり、裸眼で小文字が明確に読めるようになる。達磨さんの右に目を入れる。今年初め左目の手術も予定している。
 世の中が明るくはっきりと見えると、私は蘇生され、新たな人生が始まる予感がする。
 自分の余命など考えもしなかったが、今回女医さんに想起させられた。厚生労働省作成の簡易生命表によると、84歳の平均余命は6.98歳。統計上、自分はあと7年も生きられる、あるいは7年しか生きられない。 もちろんその前にお迎えが来るかもしれないし、また人生100年時代ともいわれ、これはまたこれでどのように生き抜くか大変である。

 78歳の時キリマンジャロ(5685m)の頂に立ことができた。その後ヒマラヤを縦走して8000m級の山々の頂を仰ぎ見るとか、またはスペインのサンティアゴ巡礼の道をたどる等々企画したが、コロナが世界を覆い見果てぬ夢と消える。
 これからは身の丈に合わせ、周りの人には極力迷惑を掛けないように心がけて行きたい。
 新潟十日町でのブナの苗木の植林とか、平塚里山の自然保全再生活動等の取り組みを継続する。
 また絵画は奥深く、夫々の個性が色濃く発揮でき、高齢になっても達磨の両目が入れば、筆が持てる限り描き続けられると固く信じている。

(なかしげ けんじ・1964年入社・千葉県在住)


2023年深大寺達磨祭


平塚あゆみの里(右から5人目が筆者)


中重さんの過去のご寄稿は下記URLからご覧いただけます。


「浮雲」の登山(2014年4月)
http://marubenishayukai.world.coocan.jp/hiroba/tayori/tayori-2014-5-1.html


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