新春企画

2023年01月01日 新春企画

初めての駐在インドでの思い出

古川 正博 (1974年入社)

筆者近影(神戸市内を一望できるカフェの庭園にて)

 丸紅在職中、印象深い思い出は数多くありますが、最も印象に残る経験を一つだけ選ぶとすれば、初めての海外駐在インド(チェンナイ)で過ごした1995年からの3年半となります。 
 当時のインドは、「巨像がついに立ち上がる」といわれ、21世紀の経済大国として世界から大きな注目を集め、当社は1996年に商社初の現地法人化を行い「丸紅インド会社」を設立、私の駐在する「チェンナイ」にも関経連インド経済調査団(1997年11月、橋本守団長)をはじめ、名だたる企業の方が次々と訪問されました。
 業務面では、駐在経験のない私に、ナショナルスタッフがわかりやすい英語と親しみをもって接してくれすぐに打ち解けたこと、インドのシャツ製品(マドラスチェック)は柔らかく肌触りは良いのですが、色落ちしやすいため日本市場になかなか受け入れられませんでしたが「風合いの良さ」を粘り強くアピールして、初めて日本向けに輸出契約ができたことが記憶に残っています。1997年からはワンマンオフィスとなり、繊維以外の食料・物資といったコモディティトレードからエネルギー・電力の事業投資案件にまで携わることができたことはこれまた貴重な経験となりました。


自宅に来たヒンドゥー寺院の象(1997年4月)

 日常生活では、炎天下、冷蔵庫や氷もなく板の上に魚をのせて販売する「フィッシュマーケット」、停電が頻繁に起き冷凍庫の中のものを絶えず心配していたこと、屋上タンクの水を使いシャワーを浴びていると赤い動く糸が身体につくのでよく見ると「ボウフラ」と気づき悲鳴をあげたこと、近くのヒンドゥー寺院から托鉢のために「象」が自宅にきたこと、日本人教師の陶芸教室に通い初めて自分の作品を創作したこと、全てが懐かしい思い出となっております。
 インドで、国籍を問わず多くの人と巡り合い、今日まで続く人とのつながりを持てたということは、私にとって貴重な財産になったとともに、家族に支えられ健康で大過なく駐在を終えることができたことに感謝の言葉しかありません。
 その後のインドの歩みは、ゆっくりとしたものですが、人口世界一は目前に迫っており、さらなる躍進を期待しています。

 さて、私も今年で72歳、次の年男をできるだけ元気に迎えることができるよう、規則正しい生活と適度な運動を前提に、「①何事にも興味を持ち趣味の範囲を広げること、②人との交わり、③地域との関わりを大切にする」との目標を掲げ、従来からのゴルフとウォーキングに加え、最近、家内と共に地域のシニアクラブに入会し「ダーツ」を始めました。まずは、できることから一つずつ実現し、これからも「人との出会い」を大切にしていきたい!!

(ふるかわ まさひろ・1974年入社・兵庫県在住)


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