新春企画

2020年01月01日 新春企画

頑張る弱者

城島 勝則 (1972年入社)

 近年ますます弱者に優しくなっている。平等で格差のない安全安心な生活を送れることが正義であり、働き方改革・ハラスメント防止等幅広く議論されている。


全員丸紅社員(現OB)のメンバーで
参加した、金沢八景沖のレース

 自分を振り返ってみると、大学でヨット部部長になった。部員が少なくても全日本で勝てるチームにするため、徹底的に(日本の大学で一番の)厳しい練習を行った。結果は出たが、今だとハラスメントで部活停止になっているに違いない。

 また、丸紅に入社後、1980年のモスクワオリンピックを目指すことになった。オリンピック候補選手にはなれたものの、日本はモスクワオリンピック不参加となった。この間、休日は江の島で練習、平日は残業と多忙を極めたが、仕事と趣味を両立させることができ充実した楽しい期間であった。しかし、働き方改革の現代であれば、過労死ラインをはるかに超える残業時間は法令違反となる。

 ラグビーワールドカップでの日本チームの活躍を見て感動した。強豪を倒しベスト8へ進んだ。目的を持ち、過激な練習にも「ONE TEAM」としての一体感で乗り越え、厳しい環境も愛情と信頼があれば耐えることができ、決してハラスメントにはならないことを証明してくれている。目的を達成した時の喜びは、にわかファンであっても涙が出るくらいに共感できた。

 競争に勝つ(目的を達成する)ことは大事なことであり、そのためには努力が不可欠で、無条件に国が弱者に優しいことを是とする社会の方向性が懸念される。
 今年は72歳の年男である。老化により少しずつ体が弱者になっていくことを実感している。しかし、これからも高齢者(弱者)として甘えて過ごすのではなく、少しは我慢し、少しは努力する年寄りになりたいと考えている。


(じょうじま   かつのり・1972年入社・東京都在住)


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