新春企画

2019年01月01日 新春企画

楽しき哉、我がオマケ人生!

相田 康宏 (1970年入社)

筆者近影

 私は今年、年男である。思い起こせば、自分が72歳まで生き永らえるとは予想もしなかった。私は悪性骨髄腫瘍の一種を患い、治療の唯一の選択肢として2011年4月に骨髄移植手術を受けた。生存率が極めて低い手術で、最悪の事態も覚悟していたにも拘わらず、術後の経過はきわめて良好で、3か月後に退院。大した拒絶反応も現れず、奇跡的な回復を果たした。昨年春に、術後7年が経過し、医師からは、「もう大丈夫でしょう、あとは癌検診など健康管理をしっかりやるように」との診断を受け、現在も定期的に検診を受けている。

死ぬはずだった自分がえらく元気になり、何の制約もなく生活できる。ある大先輩から、「良かった、お前のこれからはオマケ人生、好きなように生きたらよい」と言われた。現在、私は鎌倉に住んでいるが、鎌倉は適当に田舎で、適当に都会に近い。こんな死に損ないの人間が住むには格好の環境である。

 まず、家から近い芙蓉CCの平日会員になり、ゴルフ場通いを始める。そして、次に入れて貰ったのが、「湘紅会」と称する湘南地区の社友の集まり。この会は、始めた先輩の心がけが素晴らしく、先輩だろうが同輩だろうが全員を「さん」づけで呼んで、楽しく遊ぶ。その雰囲気が誠に心地よく、まずゴルフ部会に入り、次に万歩会と称する野山を月に一回散策する会に入る。平均年齢は70歳後半だと思うが、いまでも元気な先輩が多く、常に20人前後のメンバーが集まる。歩き終わると、最寄りの駅で居酒屋を探して反省会。皆さん、上機嫌で散会する。その次に唄会なる部会に入る。月に一回、鎌倉にある老舗バーを昼間開けて貰い、カラオケに興ずるのである。皆さん、昔鍛えた喉を存分に振り絞り、終わってから一杯やる、これも楽しい。

 さらに湘紅会とは別に、地元でジャズを歌うようになる。これはカラオケではなく、プロのジャズシンガーのピアノ伴奏で古いスタンダードを歌う。譜面など中学校以来見たこともなかったが、もう4年も続いている。ただし、他人様に聴かせられるシロモノではないことをお断りしておく。

 ゴルフや散策で体を動かし、ジャズを歌って喉を震わせる毎日、ああ楽しき哉、我がオマケ人生!

(あいた やすひろ・1970年入社・神奈川県鎌倉市在住)


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