新春企画

2016年01月01日 新春企画

ストップ!「廃用性萎縮」

尾田 武夫 (1956年入社)

筆者近影

 12年前には今年の申年まで生きているとは思ってもいませんでしたが、お蔭様で今日まで元気に日々過ごせることを幸せに思っています。
 人間、歳とともに体力、気力、知力が衰えるのはやむを得ないもの、人の名前が思い出せなかったり、ペットボトルの栓が開けにくくなったりすることも歳のせいにしていました。ところが最近の医学の進歩により、年齢に関係なく脳も筋肉も、鍛えることにより現状維持あるいは強化できるということが分かってきたようです。
 人間の大脳の神経細胞(ニューロン)は140億個あり、1日に10万個ずつ死滅していく。ところがニューロンから足のように伸びている神経線維は、頭を使えば使うほど増殖して情報伝達を活性化し、頭の回転を速め記憶力も増進するそうです。となれば84歳だから物忘れも当然だと、歳のせいばかりにすることはできないということになります。
 少し前から、私は週1回、「十坪(とつぼ)ジム」という健康ジムに通っています。「十坪ジム」というのは、自宅からほど近い東大柏キャンパス(昨年ノーベル賞を受賞した梶田さんが所長を勤める宇宙線研究所もここにある)内に開設された、「生涯スポーツ健康科学センター」の小林寛道教授(所長)が、その研究成果として開発したマシンを使って、主として高齢者向けに「認知動作型トレーニング」と呼ばれる、ユニークなトレーニングを実践するジムです。「十坪ジム」は、その名のとおり、1店舗当たり10~15坪のスペースに6~7台のマシンを設置し、地域密着型の健康づくりを目標としており、スタート当初には、経済産業省や千葉県からの補助金対象事業でもありました。
 また月2回、絵画教室で油彩を描いています。年1回開催するグループ展は今年3月で第12回を迎えることになります。今年も出展のため、そろそろ制作にかかるところです。 ボケ防止に聞き始めたNHKの「ラジオ英会話」も十数年になりました。テキストに出てきた新しいフレーズを全て収集し、そのボリュームも大量になりました。毎日2~3時間、できるだけ声を出し、繰り返し暗記するのですが、なかなか満足できるような成果が上がりません。でも、記憶力の低下には確実に歯止めがかかっていると思って続けています。
 医学用語に「廃用性萎縮」という言葉があります。使わずに放置しておけば衰える、と解釈していますが、この言葉を座右の銘としてこれからも毎日を過ごしていきたいと思っています。皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます。


(おだ たけお・1956年入社・千葉県柏市在住)


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