新春企画

2016年01月01日 新春企画

生きてるだけで丸もうけ

亀谷 学 (1962年入社)

筆者近影

 この世に生を受けて、あっと云う間に6回目の干支・申を迎え、72才になるのだとの感慨があります。
 私は淡路島の南部にある由良で生まれました。家の前の浜辺に腰を下ろし紀淡海峡を出入りする大きな船を眺めながら「大人になったら外国航路の船乗りになって世界を見て廻りたい」との夢を抱いて幼少期を過ごしました。当時、島外へのルートは汽船のみでした。初めて見た都会は小学校の修学旅行で4時間も船に乗って着いた神戸でした。こんなころ田舎の子供にとって外国とはまさに夢の世界だったのです。
 船乗りにはなれませんでしたが、丸紅(丸紅飯田)に入社でき、海外勤務の夢は叶いました。色んな部署で様々な事を経験し、充実した会社生活でした。この間、幾多の方々のお世話になりました。
 社内では真の友はできないと云われたりしますが、私には(田舎の友と同じ様な)尊敬し信頼できる方々がいます。遠方に居ても疎遠でも心の支えとなっている有難い友達です。たとえば、Iさんは初対面のときから「嫌な人とは付き合うことはない」と、商社マンとしては真逆かとも思う忠言をしてくれた硬骨の男です。「おい、亀ちゃんよう~」と、今でも耳元に聞こえてくる故人Sさんは忘れえぬ友です。
 社友会の年男としては還暦の方々を除くと最年少の私はお元気な諸先輩からは、まだまだ青二才と言われます。それではこれから何をしようかな? 土日の散歩、それとも好きなパチンコ、絵画、陶芸、花壇、木工、ゴルフ、カメラ、海釣り、山歩き、帆船模型、ドライブ、旅行、温泉、映画鑑賞、観劇、カラオケ、同窓会、OB会、定期健診、老いた母の御機嫌伺い、飲めなくなったが酒場放浪、等々、思いつくのは結局のところ、どれも浅く今までやってきた自分本位のことばかりです。
 とにかく、これからの人生、他の人に迷惑をかけないよう、明石家さんまさんの言葉のように‘‘生きてるだけで丸もうけ’’と、無理せず、たいせつに暮らせたらと思っております。
 社友の皆様方のご健勝、お幸せを祈念申し上げます。


(かめたに まなぶ・1962年入社・兵庫県神戸市在住)


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