新春企画

2016年01月01日 新春企画

もうひとつのライフワーク~浮世絵復刻版に触発されて

門馬 嘉夫 (1969年入社)

筆者近影

 明けましておめでとうございます。年が明け6回目の年男を迎える事になりました。日常では自分が72歳になるのだと言う自覚は殆どありませんが、ゴルフ場でドライバーを打った時、「えっ、あそこまでしか飛んでいないの」と思う事がプレーする度に増え、残念ながら現実の厳しさを感じさせられています。とは言いながらもゴルフを止めることは出来ず、退職後のライフワークとして、とにかく機会があればいつでも何処へでも出かけていくという姿勢でラウンドしています。

 それから、退職を機に、もうひとつのライフワークとして木版画を始めました。きっかけは退職を間近に控えていた頃、たまたま外国人のお客さんを浮世絵の復刻版を制作している所へ案内した事でした。目の前で摺師があの富嶽三十六景の浮世絵を摺っており、見学している2~3時間の間に一枚の復刻版画が出来上がっていきました。この時何故かひどく感動し、これで退職後の趣味のひとつは木版画にしようと決めたのです。


旧東京駅

 そこで、自己流で上達の道を歩めなかったゴルフの轍を踏まぬよう、まずは基礎をしっかり習うべきと考え、一年程度カルチャースクールに通う事にしました。「先達はあらまほしきものかな」とはよく言ったもので、いざ習い始めてみると、先ず道具の違いに驚かされました。彫刻刀にもピンからキリまである事を知り、筆は通常の絵筆ではなく、小型の靴磨きブラシのようなものを使う。これにより絵の具を均一に板に載せる事が出来、出来映えが俄然違ってきます。下絵段階では、風景の切り取り方、彫りについては、浅く彫ったり深く彫ったりする彫刻刀の使い方、摺りについては、強弱一つでグラデーションをかけ、別の作品のようにしてしまう技術等々、まさに目からウロコの連続で、1年で止めようと思っていたこのスクールも現在7年目に入っています。

 木版画は根気と時間さえあれば出来る、退職後にはうってつけの趣味だと思っています。今後とも続けられる限り続け、丸紅OB会の『霜葉展』にも引き続き出品できるよう精進したいと思っています。


(もんま よしお・1969年入社・神奈川県川崎市在住)


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