新春企画

2026年01月01日 新春企画

「SAFETY FAST」

中谷 章秀 (1978年入社)

東京市場の小鬼たち

 1978年に丸紅に入社、財務部輸出為替課を皮切りに社会人生活をスタートさせました。
 その間、南アフリカ、ドイツでの海外勤務も経験し、2018年に丸紅グループを離れました。その後、東京商工会議所にお世話になり2025年3月末、70歳と362日で社会人生活に終止符をうちました。この間、丸紅内外の皆さま及び家族のサポートのお蔭で何とかここまでたどり着けたことに感謝しております。今は人生の第四コーナーの入り口でバタバタした日々を送っています。

 丸紅在籍中は商社ならではの色々な経験をさせていただきましたが、その中でも次の2つの出来事は事あるごとに思い出します。
 1つ目は入社早々配属された輸出為替課での出来事。日々ドル安円高が進行し、日経新聞では「東京市場の小鬼たち」という記事も連載され、この中で為替市場に於ける丸紅財務部の活動も取り上げられていました。ただ、私にしてみれば入社して間もない時期の出来事であり、為替を手際よく扱う先輩たちの活躍を蚊帳の外でただただ目を丸くして見ているだけでした。しかしながら社会人として初めてそういう現場の空気に触れることができたことは貴重な経験でした。


フレデリック・ウィレム・デクラークと
ネルソン・マンデラ

 2つ目は入社8年目の1986年から1992年まで駐在した南アフリカでの体験。日本ではバブル景気に酔いしれていた時期ですが、同国では人種差別問題で世界から孤立してしまい、国の存亡をかけ人種の区別なくその解決に向け必死にもがいていました。その先頭に立って奮闘している2人のリーダーがフレデリック・ウィレム・デクラークとネルソン・マンデラでした。本来白人と黒人という対立軸の頂点にある2人が同じベクトルに向かって邁進し、暴動がおこることもなく軟着陸させた熱意には感激すらしました。こういうリーダーシップを今の政治にも期待したいものです。

 社会人を引退して平日昼下がりの街を歩いていると、本当にたくさんのお年寄りがゆっくりとしたマイペースな足取りで活動されている光景が目に入ります。私も高齢者の仲間入りをしたとは言うもののまだまだ第四コーナーの入り口、現役世代の流れについていくためにも、多くのお年寄りの方々が心掛けられているSafety First(安全第一)ではなくSafety Fast(安全に早く)を常に念頭に置いて過ごしていきたいと思っております。


退職後、娘が在住するSt.Paul 近郊のホテルにて


(なかたに あきひで・1978年入社・神奈川県在住)


バックナンバー