私の干支は未。今年は年男で72才だ。最近は月日の経つのが実に早く感じるようになり、それこそ1年のうちに3回くらい、正月が来るような気がする。
先日、旅行した折、ホテルでの朝食時、隣のテーブルにいた老婦人3人が雑談しているのが耳に入ってきた。「未年の男は駄目よ。羊は紙を食べるでしょ。紙はお札、お金を使い果たしてしまうのよ。貧乏になるのよ。」なるほど未年の男は一面そんな風に思われていたのかとちょっぴりがっかりした。
私は幸か不幸か使い尽くすほどのお金は持ち合わせてないし、これまでもかなり慎ましやかに過ごしてきたつもりだ。
年男になったからといって、別段、人生観が大きく変るわけでもないが、ただ、健康寿命を考えるとこれまで以上に、
少しでも充実した毎日がおくれるようにと心がけたいと思っている。
今や、趣味として定着した落語にはなお一層注力していきたいと思う。落語を始めて8年目、過去、聴衆にあまり受けず気落ちした時期もあったが昨年は忘れがたい年となった。先ず7月には公演回数が100回を超えることが出来た。これは皆様に好意的に聴いていただき、また無理をして笑っていただいたお蔭だと思っている。
文京シビックホールで熱演中の筆者(2枚とも)
更に9月には文京シビックホールでの大舞台、350人を前に演じる機会を得た。会場が暑い上、緊張で汗びっしょりの中、なんとか無事にやれたことで安堵感と共にちょっぴり自信がついたような気がした。
また、11月には毎年恒例となっている丸紅同期及びOBの方々を対象にした独演会を落語カフェにて行った。多少なりとも皆様に楽しんでいただけたかと思う。
持ちネタの数は現在29であり目標は30だ。
茶道の心得を説いた、「利休百首」にある「稽古とは一より習い十を知り十よりかえりもとのその一」にあるように、
習ったことを初めからやり直すと理解や感受性が一層深まると云われている。そんなわけで今年は30に達したら初心に返り落語の質を高めたいと思っている。
落語は古典芸能の一角を占めており、魅力ある伝統芸である。私のような素人でも聴いて下さる方が少しでも、
笑い、和み、癒しを感じていただけたら演者してこの上ない喜びとなる。
年男の今年、できれば英語、中国語での落語にも挑戦したいと夢を膨らまし、及ばずながら芸を磨いていきたいと思っている。
(おおたき ながよし・1968年入社・神奈川県横浜市在住)