趣味のコーナー

2022年07月15日 趣味のコーナー

~ 油絵で広がる世界、そして個展へ ~

小野寺 弘孝 (1976年入社)

新しくて古い、古くて新しい付き合い 


気仙川の橋(F100号)と ~佐倉市立美術館~

 2018年の4月末でグループ内事業会社での仕事を終える少し前、ずっと想い続けてきた油絵を始めました、あるいは再開したと言うのが適切かも知れません。私にとって油絵とは新しくて古い、古くて新しい付き合いです。
 中学の美術の先生の勧めで、クラスで絵の上手だった親友と私の2人が油絵の道具一式を揃え、先生から簡単な描き方の手ほどきを受けたのが油絵の始まりでした。さっそく2人で意気込んで近くの桜の名所でもある小高い公園に写生に行ったものの、全く思うように描けず、2人ともひどく落胆して帰ったのを覚えています。
 その後は会社に入ってからになります。油絵のことを思い出して1枚描いてみるものの、やはり上手く描けずその後が続かず、の繰り返し。最初の海外駐在のドイツでは、多分美しいドイツの景色を描きたくなるだろうとの思いから、油絵の道具一式を家具に忍ばせて持って行ったものの、一度だけモーゼル川のワイン畑の景色を描いてみて、またまた落胆といった状態でした。要は、10年に1度思い出したように1枚描いては、その後は立ち消えの繰り返しでした。でも仕事を終えたら本格的に始めよう、という気持ちはずっと変わらず持ち続けていました。

10年に1枚から毎日へ

 2018年2月に、佐倉市内の絵画サークル「さくら画の会」に入会しました。プロの画家の先生の指導で月2回の教室、年5~6回の屋外での写生会、年2回の展示発表会といった通年のプログラムで活動している油絵中心の絵画サークルです。環境の変化とは恐ろしいもので、サークルの仲間と一緒に集中して、また時間をかけて丁寧に描くようになると、自分でも納得する作品が描けるようになりました。これまでの10年に1枚の頻度が、ほぼ毎日筆を持つ生活リズムに変わりました。結局現在に至るまで、大小さまざまですが、月2点のペースで作品を仕上げています。その間、公募がある展示会には欠かさず参加をしてきましたが、幸運にも色々な賞を頂きました。

油絵で広がる世界


いつも観に来て頂いている先輩方と、緒方さん(中央・S46)と山田さん(右・S47) ~千葉県立美術館~

 油絵を始めたことで、生活のさまざまなことが変わりました。季節の変化、景色の変化に敏感になりました。美しい景色と感じた時は、これは油絵でどう表現すればいいのか、構図はこう切り取るべきかなどと、ついつい考えてしまいます。
 旅行には次の作品の題材探しという新たな目的が加わりました。直近では今年の5月、1年越しの計画でピンポイントの時期を狙い、長野県の白馬青鬼村に行ってきました。田植え前の水を張った水田越しに望む、雪渓の残る白馬連峰は思わず息をのむ景色でした。次の100号の作品の題材です。
 生活にメリハリが出来たのも変化の一つです。数週間あるいは数か月で一つの作品を仕上げることで、生活に一つの区切りが付きます。またサークルの展示会では、メンバーが一丸となって準備を進める時の緊張感と無事終えた後の達成感は何とも心地良いものです。
 しかし、油絵を始めて一番大きく変わったのは何と言っても人とのつながりです。サークルのメンバーに加え、他のサークルの先生方やメンバー、美術協会の方々等、たくさんの人に巡り合い親しくなりました。学校や職場での変わり目を除き、これほど短期間に多くの人と親しくなることは、これまでの人生で経験のないことでした。

個展を開きます

 このたび個展を開く機会を頂きました。千葉銀行がメセナ活動の一つとして、千葉県にゆかりのある作家に無償で個展の機会を提供している、日本橋のコレド室町3にある「ちばぎんひまわりギャラリー」です。
 昨年2月、無理とは思いながら申請したところ、5月になって審査に通ったとの通知が届きました。いつかは個展を開きたいとは思ってはいたものの、こんなに早く、それも日本橋で総壁面38メートルと広いギャラリーで、2週間の長きにわたって個展を開けるとは夢のようなお話です。でも喜びの前に、私のような画歴の浅いものが本当にそんな個展を開いてよいものか、恥ずかしくない作品で壁面を全て埋めることができるのかという、不安の方が先にきました。
ここ1年間、100号と50号を中心に作品作りを行い、今は何とか納得のいく展示ができるのではと思っています。
 個展の会期は8月2日から14日までです。猛暑の最中ですし、コロナの不安がある中でのご案内で大変恐縮ですが、何かのご用のついでにでも、地下鉄三越前駅のコレド室町3の4階に足を延ばしていただけましたら幸いです。

(おのでら ひろたか・1976年入社・千葉県在住)

小野寺さんのブログでは数々の作品をご覧いただけますので、ぜひ下記URLからご覧ください
http://honodera919.livedoor.blog/


※上の写真をクリックしますと大きくなり、左右の矢印をクリックすると個展の写真などもご覧いただけます


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