地元で主婦を相手にアマチュア劇団を主宰している。これまでは演出をしていて、科白を入れて来ない役者に「それでは稽古にならないではないか!」と厳しい激を飛ばしていた。
ところが今回、男女の二人芝居を演出だけでなく役者もやることになり、これまで飛ばしていた激は年配者にはとてつもなく厳しいものであることを自覚した。上演時間約1時間の芝居だが、出ずっぱりの二人の掛け合いの科白は73歳になった己の記憶力には想定外のものであったことを本番を10日後に控えて思い知らされている。アマチュアとは言え、「親が死んでも舞台は外せない」ものだから、あとは赤恥をかかぬよう頑張るだけだが、どんな舞台になるものか、ご笑覧にお出で頂けると有難い。
【上演概要】
演 目:「ジン・ゲーム」作/D.L. Coburn 訳/吉原豊司
日 時:2012年9月29日(土)開演14:15
会 場:平塚市中央公民館大ホール
入場料:500円
今回の上演は地元の市民演劇フェステイバルに参加してのものの為、上演時間に制限があり、台本の一部をカットしての上演だが、この作品は、1977年にブロードウェイで上演され評判になったもので、翌年戯曲部門のピュリッツア賞を得ているものである。
老人ホームに入ってきて初めて会った二人には面会日になっても誰も面会に来ない。二人はトランプのジン・ゲームで時間をつぶすのだが‥‥。
という話の展開だが、ゲームの間の会話から透けてみえるものは、少子高齢化の進んだ今の日本では身につまされる。
あと数年後の己がそんなものかと思いながら稽古している。
(にしやま じおん・1962年入社・神奈川県平塚市在住)
掲載日:12/09/21