行事報告

2024年03月14日 行事報告

2024年2月度関東地区社友会月例会

 2024年2月14日(水)に開催されました2月度月例会では講師に丸紅株式会社サステナビリティ推進部長 橋本昌幸氏をお招きし、「中期経営戦略GC2024基本方針『グリーン戦略』とは」をテーマにご講演いただきました。
 同氏は農水省・消費者庁共催 日経SDGsフォーラム特別シンポジウム「みどりの食料システム戦略」、環境省主催勉強会「TCFDと経営戦略の統合」、RI (Responsible Investor) Japan 2022 「生物多様性と自然関連リスクに企業はどう対処しているのか?」、MS&ADホールディングス主催「企業が語るいきものがたりシンポジウム」、「サステナブル・ブランド国際会議2020横浜」などに登壇されています。


日 時 2024年2月14日(水)14時~15時30分
場 所 丸紅本社(竹橋) 3階 大ホール
講 師  橋本 昌幸 氏(丸紅株式会社 サステナビリティ推進部長)
演 題 中期経営戦略GC2024基本方針「グリーン戦略」とは
  • 現行の中期経営戦略GC2024の基本方針の一つとして、グリーン戦略がある。「グリーン事業の強化と全事業のグリーン化推進によりグリーンのトップランナーへ」としており、これがグリーン戦略と呼ばれているもの。成長戦略の中に、なぜグリーンがその基本方針の一つに入ったのか、まずは社会的背景について説明する。



  • サステナビリティとは、人間社会の持続可能性のことであるが、これに一番大きな影響を与えているのは、人口増 x 一人当たりのGDP = 人間の経済活動である。経済活動は物を消費したり、エネルギーを使用したり、さまざまな資源を必要とする。経済活動が増えると、食料が増える。食料生産を行うためには、穀物や水の使用、耕作面積も必要となり、大きなインパクトがある。また経済活動によりエネルギーの使用も増える。これらの影響により、気温上昇が起き、さまざまな影響を人間社会・経済活動に与えている。経済発展とともに、これらの気候変動の影響においても地域格差が起こっており、特に難民問題といった社会問題を引き起こしている。

  • 国際社会では、SDGsが2015年に国連で採択された。SDGsは2030年に向けた国際目標であり、それまでの人権・貧困対策の側面と、環境の側面の2つの大きな動きを合体させたもの。また、機関投資家も人間社会のサステナビリティに対する危惧を持ち、企業が取り組むように仕向けていった。中長期の経済成長を下支えするため、環境問題・格差問題等を懸念事項として挙げ、SDGsの目標が達成されないと経済成長を阻害するシステミックリスクに繋がる可能性があると、企業に対してサステナビリティの取組を強化すべきと促し始めた。これがESG投資の始まりである。ESG投資は近年大きく増加している。また非財務情報の開示要請も高まってきており、日本国内でも今年度より有価証券報告書における気候変動・人的資本に関わる開示が法定化されたが、ヨーロッパを中心に国際基準となる開示枠組みの検討が進んでいる。

  • 環境面では、生物多様性に関わる動きも近年加速している。2022年12月に昆明・モントリオール国際生物多様性枠組みが締結され、2030年までのネイチャーポジティブ、2050年の自然と共生する社会が国際目標となっている。ネイチャーポジティブとは、自然資本(土地、水、漁獲等)と呼ばれているものが、現在毀損しているため、この毀損している傾向を2030年までに回復基調にしようというもの。また2050年までには毀損した自然資本を取り戻そうとしている。この国際目標を策定した後、国内外でネイチャーポジティブに向けた色々なイニシアチブが動き始め、気候変動に加え、生物多様性や自然に関しても非常に大きな動きとなっている。従ってグリーンに関する取組を強化することが国際社会あるいは日本国内においても非常に重要視されている。
  • このような社会的背景により、グリーンであることを避けて成長戦略は語れないという経営判断の下、グリーン戦略を中期経営戦略GC2024の基本方針の一つとした。この要素としては、脱炭素化、循環経済への移行、自然との共生があって、人権の尊重を基盤として、サプライチェーン全体で推進することで世の中のネイチャーポジティブに貢献すると同時に当社の収益源を増やしていきたいというのが基本的な中経の枠組みになっている。ネイチャーポジティブは2030年の国際目標となっているが、当社のグリーン戦略のゴールもそれにアラインした形として設定している。グリーン戦略は、営業本部毎に、本部別グリーン戦略を策定している。対外的には未だ公表していないが、進捗状況を示す形で今後開示していきたい。
  • グリーン事業は事業活動が自然へ与える影響がネットでプラスであること。事業活動が拡大すればするほど自然に対して貢献する事業。これを独自の定義でグリーン事業と定義している。収益に与える影響は大きい。全事業のグリーン化はビジネスと自然の関係を明確にして、悪影響をいかに減らしていくか、将来的には会社としてどのように貢献していくか、という考え方になっている。グリーン事業の強化に加え、全事業において自然に対する悪影響をプラスに改善していく。それを同時に実行していくことで、丸紅は全体として世の中のネイチャーポジティブに貢献すると同時に、収益力を高めていきたい。

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