行事報告

2022年06月29日 行事報告

2022年6月度関東地区社友会月例会

日 時 2022年6月21日(火)14時~15時30分
場 所 丸紅本社(竹橋) 3階 大ホール
講 師  伊勢 雅臣 氏(国際派日本人養成講座編集長)
演 題 世界史の中の日本~『大御宝を鎮むべし』を求めて

 6月度月例会は、新社屋大ホールでの来社形式と、Zoom配信のハイブリッドで開催されました。

 講師の伊勢雅臣氏は1953年生まれ。東京工業大学卒。製造企業に入社後、カリフォルニア大学バークレー校にて経営学博士を取得。常務執行役員、イタリア、アメリカの現地法人社長を歴任。現在は4万人が購読しているメールマガジン「国際派日本人養成講座」の編集長として活躍されています。



『講演要旨』
「世界史の中の日本~『大御宝を鎮むべし』を求めて」

 欧米では短期利益重視の経営に対する反省が進んでいるが、我が国は江戸時代から「三方よし」の経営が発展し、この伝統が現代の商社活動にも継承され、世界の途上国の経済発展に多大な貢献をしてきた。「三方よし」の経営は民を「大御宝(おおみたから)」として、その安寧を目指す我が国古来の世界観が事業経営面で発現したものと考えられ、この世界観のゆえに、我が国は近代世界史の中で独自の足跡を残してきた。

1.「国際人」ではなく、「国際派日本人」
そもそも「国際人」などいない。二流の欧米人ではなく、一流の日本人を目指すべき。
そのためには日本人の「根っこ」の大切さを知るべき。

2.「三方よし」経営の強さ
日本には千年を超える長寿企業が9社もある。これは世界に類を見ない。
「三方よし」に代表される「和」の経営理念がその根底にある。現代商社の事業経営の源流でもある。
国際社会も三方よしの経営に向かいつつある。ESGやSDGsなども、その流れの中にある。

3.「根っこ」を育てた一万年
日本人は縄文時代に世界最初の定住を開始した。多種多様な食物を多種多様な時期に食べていた。自然との「和」により持続可能な定住生活を実現していた。
一方、沖縄のイモガイの化石が東北地方で見つかっていることから、列島各地を結ぶ「和」の交易網がリレー方式でつながっていたと推測される。

4.「根っこ」を伸ばした国づくり
神武天皇の「建国宣言」から聖徳太子の「十七条憲法」、明治天皇の「四海同胞」に至るまで、人民(おおみたから)を大切にし和を尊ぶ精神(根っこ)が継承されてきた。

5.「根っこ」の力とインドネシア
1945年、インドネシア独立宣言、再植民地化を狙うオランダ軍と抗戦。
千人以上の日本軍将兵が独立戦争に参加、324人が生き残りインドネシア国籍を取得、45人が日本に帰国したが残りは戦死または行方不明。なぜ青年たちは異国の独立戦争に命を捧げたのか? 
国民を「おおみたから」とする伝統から、オランダ人がインドネシア人を再び差別搾取する体制を許せない、という思いがあったからではないか。

6.おわりに
日本人としての「根っこ」をさらに太くしよう。
最近の日本人、日本企業はこの努力を忘れているのではないか。

(関東地区幹事:中田徹)



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