行事報告

2022年01月28日 行事報告

2022年1月度関東地区社友会月例会

日 時 2022年1月20日(木)14時~15時
場 所 Web会議システムZoomを用いたオンラインでの講演
講 師  杉浦 勉 氏(丸紅ギャラリー館長)
演 題 「丸紅コレクションの成り立ちと開館記念展の見どころ」

講演の様子

 2022年1月度の関東地区月例会は、当初、丸紅新社屋にて初めて開催し、併せて、参加者は同ビル内の「丸紅ギャラリー」を訪れる予定でしたが、新型コロナウイルスの感染拡大によりZOOMでの配信に変更し、全国の社友会員を対象にオンラインでの講演会としました。

 講師には、丸紅ギャラリー館長の杉浦 勉 氏にお願いし、「丸紅コレクションの成り立ちと開館記念展の見どころ」と題して講演いただきました。
 杉浦氏は、丸紅OBで、在勤中はアートビジネスに従事され、丸紅経済研究所長を経て、退職後は、駐ブルキナファソ特命全権大使(丸紅出身で初めての大使)、パリ日本文化会館館長等を歴任されており、まさに丸紅ギャラリーの第一人者です。
 講演を通じて、丸紅が所蔵する美術品コレクション(丸紅コレクション)について、保有にいたる経緯とその作品の見どころを、スライド写真も交えて分かりやすく、丁寧にご説明いただきました。
 オンライン講演には、約100名の社友の皆さんが参加されましたが、丸紅コレクションの位置づけを再認識でき、現役時代にはなかなか目にしなかった素晴らしい美術品の数々を鑑賞したい思いを募らせたことと思います。

 講演では、先ず丸紅コレクションの成り立ちについて、その歴史的な背景を理解するうえで、1858年の丸紅創業時に立ち返り、繊維の卸販売からスタートし繊維事業の進展とともに日本の美を追求・保全してきた経緯をご説明いただきました。

 丸紅コレクションは、染織品、染織図案、絵画を三本柱としており、それぞれの成り立ちと見どころについての概略は、以下の通りです。
 (個別作品のご紹介・ご説明は省略しました)



染織品(着物)については、丸紅商店(1921~1941)時代に、新感覚の商品を創作する目的で発足した「名品会」が、江戸期の作品を中心に400点ほどの染織品を蒐集している。講演では「源氏物語」や「羽衣伝説」など模様の主題により一部蒐集品が紹介された。また、丸紅設立50周年事業として、所蔵する最古の小袖裂から「淀君の小袖」を復元している。ちなみに、丸紅ギャラリーのロゴマークは、「納戸紋縮緬地淀の曳舟模様小袖」図柄をモチーフとしてデザインしたもの。

染織図案(染織品のデザイン画)も、丸紅商店時代に染織品の新しいデザインを考案する目的で作られた染織図案研究会を通じてコレクションが形成された。1927年には、「あかね会」が結成され、帝展特選作家・京都画壇・白馬会等を背景とする多様な分野の芸術家70名以上が参加した。発表されたデザインをもとに「染織美術展覧会」が開催され、現在も京都丸紅が「美展」として引き継いでいる。今回は、その一部を丸紅ギャラリーで紹介している。
 (今回の講演当日に、都内のホテルで京都丸紅主催の「東京美展」が開催されていました)

絵画については、近代日本絵画と西欧絵画から構成されている。日本絵画は、「あかね会」等を通じて交流のあった作家等を中心に蒐集され、西欧絵画は、丸紅が絵画・美術品ビジネスに参入して、輸入販売事業をおこなう中でコレクションができ上がった。1969年には丸紅アートギャラリーを開館、同年にボッティチェリの「美しきシモネッタ」を購入、1974年にはパレスアートギャラリーを開館し、印象派以降の作品を中心に取り扱っていた。

今回の「丸紅ギャラリー開館記念展Ⅰ」は、「日仏近代絵画の響き合い」展と銘打ち、西欧絵画では、19世紀の写実派よる風景画から始まりフランス近代絵画の巨匠作品、日本絵画では、彼らから影響を受けて19世紀末から20世紀にかけて活躍した日本の近代洋画家の作品を両者の作風をベースに分類して展示した。日仏の美術交流や響き合いをレビューしたものとなっている。

記念展Ⅰの見どころとしては、丸紅所蔵の絵画約300点のうちから厳選して約40点を展示しており、展覧会の構成を
①    本展覧会の趣旨 ②    写実主義から外光派そして印象派へ ③    印象派を超えて
④    セザンヌに応えて ⑤    フォービズムの息吹 ⑥    フォービズムを超えて
⑦    象徴主義の流れ ⑧    異能画家たち
としている。
(丸紅ギャラリー来場者の投票では、キスリングの「ミモザの花」が一番人気とのことです)

丸紅ギャラリーのコンセプトは、「古今東西の美が共鳴する空間」としており、丸紅コレクションを中心に、順次いろいろなテーマで開催していく予定。

今後の企画展のスケジュールは、次の通り。(公式WEBサイトにて最新スケジュールをご確認のうえご来場ください)

2022年6~7月 「美の追求と継承―丸紅コレクションの着物」展
2022年12月~2023年1月 「美しきシモネッタ」特別展
2023年5月~6月 「染織図案」展

 今回の「丸紅ギャラリー開館記念展Ⅰ」は、来週1月31日(月)までとなっています。この機会をお見逃しなく、ぜひ丸紅新本社ビル3階の「丸紅ギャラリー」にご来場ください。
※今回の企画展の開館時間は10時~17時(最終入館16時30分)、日曜休

 なお、丸紅ギャラリーに関する情報は、下記をご参照願います。
・公式WEBサイト(Marubeni Gallery 丸紅ギャラリー
・丸紅ギャラリーInstagram  丸紅ギャラリー(@marubeni_gallery_official)

(関東地区幹事:斉藤正視)


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