行事報告

2017年06月26日 行事報告

2017年6月度関東地区社友会例会行事報告

日時 2017年6月26日(月)12時より
会場 丸紅東京本社(東京日本橋タワー)23階大会議室
幸氏 橋本五郎氏
演題 「どうなる日本の政治と経済」

 2017年6月度の関東地区月例会では、読売新聞特別編集委員の橋本五郎氏をお招きし、「どうなる日本の政治と経済」と題して、昨今の国内政治にまつわる話題を中心に、氏の思うところを存分に、そして熱く語って頂きました。国民の関心が高い、最新の政界裏話などへの期待もあって、いつにも増した140名近い参加者が集まり、会場は超満員の大盛況でした。

 橋本氏は、1970年に読売新聞に入社後、政治部を中心に記者活動を続けられ、現在は、テレビの報道番組等でも大活躍されていますが、同時に、数々のコラムや署名記事などでも大きな存在感を示しておられます。今回の講演会では、軽妙かつ張りのある明瞭な語り口で、様々な話題に切り込み、随所で聴衆の笑いや感嘆の声も上がりましたが、残念なことに、冒頭、講師より、「講演会終了後は、話の内容は忘れて欲しい」とのご要請がありましたので、報告者も話の一部を忘れてしまい、すべてをご報告出来ないのが少し残念です。とは言え、ジャーナリストとして長年政界の裏表に精通して来られた氏の講演のエッセンスについては、お許し頂ける範囲で、出来るだけお伝えしたいと思います。

 先ずは、現下の都議会議員選挙について、小池知事が率いる勢力が勝ち過ぎると、二元代表制のチェック機能がおろそかになるのではないかと懸念を示され、また、知事の政治手法を、「越後屋政治」と喝破、要は、悪役を仕立て上げ、その賞味期限が切れると、新たな悪徳商人を見つけ出す手法ということですが、いつまでこの手法を続けられるのかとの懸念も示されました。一方で、小池知事の場合、女性支持者の多いことが最大の特徴であるという評価をされています。その中心は家庭の主婦であり、要は、男社会のうさん臭さ、亭主に対する疑いの目が根っこにあると分析されます。築地市場の移転問題については、今回の豊洲移転、築地も生かすという案は政治的折衷案であり、選挙後は、じっくり具体策を検討すべきであると注文を付けられました。

 安倍政権は、ある意味で不思議な政権であり、支持率と不支持率が逆転しそうで、中々しない。今回初めて一部の調査で逆転したが、ここから先は分からないとのコメントでした。森友・加計問題は、政府が最初に対応を間違えたことで話がこじれたとの評価です。また、アベノミクスは、ある意味で中央銀行の独立性をも脅かすような大胆な政策であり、安倍政権はこれを断固として実行していますが、ただ、大胆な策の実行には周到なる準備が必要であるとのこと。その点は、中曽根政権を見習うべきであると言われます。政治に一番大切なのは、思いやりと謙虚さであり、現在の安倍政権で問題なのは、地方に対する愛情が不足していることではないかとも言及されました。

 その後、橋本氏ご自身のプライベートな活動として、出身地である秋田県八郎潟の近くに作られた図書館、いわゆる「橋本五郎文庫」のお話とその活動のきっかけとなった、お母さまの思い出をお話しされました。「文庫」については、氏ご自身が通われた小学校が廃校となったことから、その校舎を利用すべく、2万冊の蔵書を寄付してスタートしたものですが、その後、多くの知人の協力により、今は3万8千冊になったとのことです。多くの来館者にも恵まれ、高齢者の休憩の場が欲しいということになって、今年、図書館のそばに、「五郎のえ(家)」という施設も建てたそうです。そして、このような活動のきっかけとなったのが、浜松支局での駆け出し記者時代に、お母さまから貰った愛情あふれる手紙であり、そのお母さまが生前、地域の老人たちの集いの場である「憩いの森」という施設に関わっていたことも背景にあるとのことです。お母さまには、限りない夫への感謝と家族への思いやりがあったとのこと。生前、「土日でないと死ねない」とよく言っていたそうですが、これも、初七日や四十九日の法要に、遠くから出席する家族への配慮であり、実際に亡くなったのは、日曜日の夕方だったということです。

 今の日本の政治に欠けるものは、「心」であるとのこと。「今、全国、特に地方に独り暮らしの寂しいお年寄りがいっぱい居る。そんな人たち一人ひとりに暖かい光が当たるような政治こそ期待されている」。今は亡きお母さまの思い出を語りつつ、今の政治に期待する熱い思いを述べられて、「五郎節」の名調子は幕を閉じました。



(関東地区幹事:市村 雅博)


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