行事報告

2020年03月03日 行事報告

関西地区2019年2月度社友会月例会

日 時 2020年2月13日(木)12時より
場 所 丸紅大阪支社31階大会議室
講 師 丸紅経済研究所所長 今村 卓氏
演 題 「2020年内外政治経済見通し-どうなる米大統領選、米中対立-」

  関西地区2月度月例会は、2月13日(木)に、3年連続でお願いした丸紅経済研究所所長・今村 卓氏に「2020年内外政治経済見通し-どうなる米大統領選、米中対立-」と題した講演をいただき、41名の社友が参加されました。

初めに、資料を作成した時期と現在の状況がかなり変化しているため、現状に沿ったお話しをさせていただくとのご発言のもと、講演が開始されました。

1)2020年の世界景気は米・中・ユーロ圏・日本の同時減速が生じて回復基調とはならず、停滞が続く見通し。
 その要因となるのは以下の通り。

  • 米中間の貿易戦争―互いの追加関税発動は第1段階が合意され改善の兆しはあるものの最初の入口段階であり、先は不透明であること。
  • 米国通商政策は依然不透明で保護主義政策が中国以外にも拡大する兆しがある。
  • 米中の技術覇権争い―デジタル経済の根幹技術の囲い込み。米国中心の自由経済主義と中国の国家資本主義の2極化が進行する可能性がある。
  • 中国経済の減速により対中依存度が高い新興国経済に対する影響拡大。資源価格の下落。新型肺炎による更なる影響拡大も懸念(人、物の動きの停滞による更なる景気減速懸念)。
  • 中国の経済規模がSARSの時の規模(世界経済の7~8%)に比べ、2018年は18.7%となっており、その影響は比較できないものとなっている。
  • 金融政策・財政出動の限界。金融緩和で流れ込んだ資金による株高も限界か?
  • 半導体市場の回復は5Gの立ち上がりで見込まれるものの、2018年の水準まで届かない見込み。本格的回復に慎重な見方もある。
  • 米国大統領選挙や米中交渉の動向に注意が必要。

 米・欧・中・日本の2020年の経済見通しは次の通り。

  • 米国は堅調な個人消費が続き、拡大はするものの2%以下の成長へ。
  • 欧州は外需の低迷により力強さに欠ける。財政出動はドイツ筆頭に望み薄。
  • 中国は減速が続き経済成長率6%割れも容認。新型肺炎の影響で5%割れの危険性が出たときは大規模な景気対策実施か。
  • 日本は消費税の反動減を補正で下支え。新型肺炎の影響拡大いかんでは財政出動も。

2)米国大統領選挙は混戦必至。

  • 共和党―候補者選びは堅調な米国経済を成果に掲げるトランプ大統領が共和党支持者の90%近くを固めている状況であり、間違いなく候補者に選出される。共和党=トランプ党といえる状態の中、トランプ大統領は自らの岩盤支持層向けの選挙活動を展開。30%程度を占める無党派層をあてにせず再選を目指している。
  • 民主党―候補者選びは混戦模様。左派系のサンダース、ウオーレン候補と穏健派のバイデン、ブティジェッジ候補等が予備選を戦っているが混戦模様。左派系はサンダース候補が優位な状況だが、穏健派は当初優位といわれたバイデン候補が若いブティジエッジ候補に追いあげられている。今後参戦してくるブルームバーグ候補の動向にも注意必要。
  • 民主党の候補者選びは最終までもつれ込み、党大会で初めて代議員による上位2候補での決戦投票になるかもしれない。
  • 民主党の候補が左派系になるか穏健派になるかで異なるが、トランプ大統領が再選されるかどうかは現状では何とも言えない状況。
  • 米国経済にとってはトランプ氏再選のほうが、民主党左派系候補が選ばれるより影響が少なくましだと言われている。              

 講演後の質疑応答では、米国大統領選挙で穏健派が民主党候補になると若者が投票に行かなくなるというのは本当か、日本の物価は世界でも安いと思うがなぜ上がらないのか、現代貨幣理論(MMT)に対しどう思うか、新型肺炎が商社活動に与える影響等々、多くの質問があり、その一つ一つに丁寧に応答された後、講演を終了しました。

(関西地区幹事:川井 保範)



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