行事報告

2019年11月20日 行事報告

2019年10月度中部地区社友会月例会

日 時 2019年10月30日(水)12:00~13:30
場 所 名古屋丸紅ビル9階会議室
講 師 名古屋市教育委員会文化財保護室主査 深谷 淳 氏
演 題 「名古屋の古墳をさぐる!~志段味(しだみ)古墳群と断夫山(だんぷさん)古墳~」

 2019年10月の中部地区月例会は、名古屋市教育委員会文化財保護室主査深谷淳氏をお招きして「名古屋の古墳をさぐる!~志段味(しだみ)古墳群と断夫山(だんぷさん)古墳~」の講演をおこないました。社友22名と古賀中部支社長他6名の現役の皆様の合計28名に参加していただきました。講演の前に、10月着任の佐藤支社長補佐より挨拶をしていただきました。

 名古屋市の北東部に位置する守山区には多くの古墳が見つかっており、名古屋市内全体の201基の内134基がある。この内「志段味古墳群」には、古墳時代の前期から終末期までに至る、前方後円墳・帆立貝式古墳・円墳・方墳の大小66基(現存33基)の古墳が集積し、古墳群の内7基が国指定史跡となっている。「志段味古墳群」がある上志段味は、一級河川庄内川が濃尾平野へ流れ出る河岸段丘上にあり、古代の伊勢湾と内陸を繋ぐ交通の要所を間近に見下ろす場所であり、多くの古墳が作られた。
 「白鳥塚古墳」(前方後円墳)は墳丘長115mの最も大きい古墳で、ヤマトタケル伝説の白鳥塚伝承がある。「志段味大塚古墳」(帆立貝式古墳)は墳丘長51m、発掘調査で鏡・馬具等多くの副葬品と様々な形状の埴輪が出土している。現在は古墳に実際に使用されていた石を一部使って復元され、復元埴輪列・復元木棺も現地展示されている。
 名古屋市は志段味古墳群と周辺の自然地形を保存・活用して、「志段味古墳群歴史の里」の整備を進めており、本年4月には「しだみ古墳群ミュージアム」を開館した。古墳群出土品展示や衣装体験・火おこし体験等の古代を身近に感じられる体験型施設である。既に、開館以来10万名以上の来場者が訪れている。

 断夫山古墳(前方後円墳)は、現在より内陸に入り込んでいた伊勢湾の最奥部に面し、海からの眺望を意識して築かれたと考えられている。6世紀初めの築造と推定される墳丘長151m・高さ16mの東海地方で最大の古墳。墳丘形態は、5世紀後半築造の大阪府土師ニサンザイ古墳(百舌鳥古墳群)に似ており、畿内大王墓の墳墓様式が取り入れられている。断夫山古墳の東縁には、草薙剣を祀る神社として知られる熱田神宮が位置する。
 断夫山古墳の被葬者は明らかではない。熱田神宮では日本武尊妃の宮簀媛の墓としているが、学術的には古代豪族尾張氏の首長墓と考えられている。被葬者は尾張連一族の最有力者であった尾張連草香と比定されている、また継体天皇妃・目子媛の埋葬も予定されたことで、地方にあっては隔絶した規模の墳丘、周堤が築かれたと考えられている。
 なお、断夫山古墳は発掘調査が予定されており、古代の東海地方の歴史の扉を開く発見に繋がるかもしれないことが期待される。


(中部地区幹事:立川賢司)


行事情報トップページへ