行事報告

2019年04月23日 行事報告

2019年度関西地区4月度月例会

日 時 2019年4月10日(水)
場 所 丸紅大阪支社31階大会議室
講 師 (公財)循環器病研究振興財団・理事長 
国立循環器病研究センタ-・名誉総長  北村 惣一郎氏
演 題 「健康長寿-百歳を目指して」

 関西地区の4月度月例会では、「公益財団法人 循環器病研究振興財団」理事長の北村惣一郎先生をお招きし、「健康長寿-百歳を目指して」と題して、講演を行っていただきました。大方の社友にとって最大の関心事である「健康長寿」がテーマということで、朝からの雨と気温の急激な低下にも拘わらず、当日は、45名の社友の方にご出席頂きました。
 なお、国立循環器病研究センタ-は今年7月1日、JR岸辺駅北側に長さ280m、高さ45mの威容を誇る新ビルに移転する予定(近くには吹田市民病院も昨年11月に移転して来ており、吹田市はこの一帯を健康と医療の街「北大阪健康医療都市(健都)」として開発中)とのことです。

 以下、当日の講演内容のまとめです。



1)    寿命
 2020年の平均寿命は男性81才、女性88才で、2050年では男性84才、女性90才と推計され、新しい薬や医療技術の開発が進んでいるが、それでも100年生きることは中々難しい。
 女性の寿命が長いのは全世界共通で女性は大きなX染色体を2本持っており、遺伝子レベルでは明らかに男性より長生きに有利である。
 国内の市区町村別平均寿命(1898市区町村のデ-タ)をみると、下位10市区町村の内1位は男女とも大阪市のA区(同一区)で、他にも男性で2区、女性で3区が下位10位以内にランクインしており、吉村知事(当時市長)と松井市長(同知事)が、私が会長をした学会で御挨拶を頂いた際にこの数字を伝えたら、しっかりやっていきますとの返事があった。
 65才以上の高齢化率をみると、2010年は4.3人に一人だったものが、人口減の始まる2025年では3.3人に一人、2060年では2.4人に一人となる。総人口が減少すれば医療費総額は減少するが、65才以上の人口は殆ど変わらず65才未満の医療費負担額は増大する。

2)    高齢者の病気と対策
 死因別死亡数の割合は悪性新生物(がん)29%、心疾患16%、脳血管疾患9%などが高いが、近年医療技術の進歩で心疾患での死亡率は減少しており、逆に大動脈瘤・解離は3%と低いが危険度は高い。
 高血圧は脳卒中、心疾患、腎障害、大動脈瘤など生命に係る疾患のリスクとなる。その高血圧の根源は塩分摂取過多である。日本人の食塩摂取量は減っているが、血圧との関係性は不変。食事中に醤油、食塩などの追加摂取を控えるだけで2~3gの減塩になる。
 がんや動脈硬化などの予防のための生活習慣の改善としては禁煙、受動喫煙回避、減塩(1日6g未満)、バランスの良い食事、定期的な健診と毎日の運動(歩行)などが挙げられる。
 また生活習慣病と同時に老年症候群が現れて来る。
 認知機能障害、めまい、視力障害、体重減少、貧血、身体活動低下、歩行速度低下、筋量低下などだがこれらに対応し、加齢を遅らせるのが加齢医学である。最近サプリメントの宣伝が多いが、サプリメントは栄養失調でもない限り飲んでも本質的には効かない、歩くことが一番の対策なので毎日阪急、阪神梅田駅、JR大阪駅から丸紅まで歩くことを勧める。筋量の低下を調べる簡便な方法として指輪っかテストがあり、ふくらはぎの最も太い部分を両手の親指と人差し指で囲って隙間が出来れば筋量低下が大きいことになる。

 他にもカテ-テル治療や不整脈の画像化(可視化)など心臓医療の現状について軽妙な語り口で講演をして頂きました。「健康長寿に特別の秘訣はないが、質の高い生き方をすることが重要であろう」とのことでした。
 質疑応答で女性の方々から積極的な質問があり、講演終了後も7~8人の方から今自分が罹っている病気と薬についての質問やセカンドオピニオンについての医者の紹介など、30分程度かけて丁寧に回答をされていました。 

(関西地区幹事:池田 理)



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