行事報告

2018年02月13日 行事報告

2018年2月度関西地区社友会例会行事報告

日 時 2018年2月13日(火)
場  所 丸紅大阪支社(新ダイビル)31階
講  師 今村卓(丸紅経済研究所所長)
演  題  2018年の世界経済 -安定成長は持続可能か-

 2月13日(火)、関西地区の2月度月例会が開催されました。毎年、2月度月例会では、丸紅経済研究所長をお招きして、その年の経済等の見通しを講演いただいております。今回は、昨年10月に就任された今村卓所長(前ワシントン事務所長)に、“2018年の世界経済 安定成長は持続可能か-”という演題で、お話しいただきました。この日は小雪の舞う寒い日でしたが、例年通り60余名が出席されました。

 

 以下は、講演の概要です。

  1. 世界経済は安定的に拡大する。世界の実質経済成長率は3.9%と、2012年以降ではもっとも高い。先進国・新興国、2017年に回復に転じた資源国も含め、すべてがプラス成長する。ただ長い目で見た潜在成長率は、先進国を筆頭に世界全体では低下傾向にあり、2019年以降実質経済成長率が低下する可能性が高くなる。
  2. 米国は個人消費の伸びと設備投資の持ち直しにより景気拡大は続く。欧州も安定的に続伸。日本も潜在成長率(1%)を超える成長が見込まれるが、本格的なデフレ脱却はない。日本はこの潜在成長率をいかに引き上げるかが課題。中国も緩やかに拡大。
  3. 金融システムは米・欧・日の長期にわたる超金融緩和政策が効いて、今は安定している。当面の金融不安定化のリスクは低い。ただ緩和策により、有利な投資対象が少なくなりつつあり、投資家は好リターンを求めてリスクの高い対象への投資が増えてきており、今後の米・欧の引き締めの過程では、動揺するリスクがある。
  4. デジタルトランスフォーメーションが世界経済に与える影響が顕在化。世界の半導体販売の増加ペースから明らか。アマゾンなどのオンライン販売が躍進、一方既存小売業は店舗閉鎖が大幅増で、小売業においては破壊と創造の産業革命が起き始めている。シリコンバレーに勝るとも劣らない技術力を深圳(中国)がつけ始めている。丸紅も深圳・シリコンバレー・テルアビブ(イスラエル)に事務所を新設してこれに対応するが、非常に競争も激しく、商機を見出すのは簡単ではなさそう。

 講演後の質疑で“トランプ政権はどうなるか”という質問があり、今村所長からは、「ロシア疑惑による弾劾はあり得ないだろうが、政権の人材難がより深刻になっている。ホワイトハウスではトランプ大統領との意見の相違や内部対立から辞任した高官がこの1年間に20名余に達した。国務省の6つのトップポジションのうち5つが空席。共和党内部でトランプ政権の役職に就くことは自身の経歴に傷がつく、として回避傾向などもあり、政権運営能力が非常に低い状態のままで安定しない。ただ支持率は企業・個人への減税策が功を奏し、低いとはいえ40%強まで回復。共和党支持者に限れば8割近い支持があるため、共和党内はトランプについていかざるを得ないのが実情である。」との説明がありました。





(関西地区幹事:藤原 潤一)


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