行事報告

2018年10月24日 行事報告

2018年10月度関東地区社友会月例会行事報告

日時 2018年10月24日(水)12時より
場所 丸紅東京本社(東京日本橋タワー)23階 大会議室
講師 女流棋士 清水市代 氏
演題 「人生は一局の棋なり」

 2018年10月度の関東地区月例会は、女流棋士の清水市代さんをお招きし、「人生は一局の棋なり」と題して講演いただきました。
清水さんは、昨年5月に女流棋士では史上初めて、日本将棋連盟の常務理事に就任し、連盟の運営に携わるとともに、女流六段の現役棋士として活躍されています。通算女流タイトル獲得数43期は歴代最多であり、女流名人・女流王将・女流王位・倉敷藤花の永世(クイーン)称号をお持ちです。ちょうど講演前日に、「第8期将棋リコー杯女流王座戦」のタイトル挑戦者として、岐阜で里見香奈女流王座との五番勝負第1局があり、対局直後で大変お疲れにもかかわらずお話しいただきました。
講演では、明るい話題の多い最近の将棋界について、様々な視点から分かりやすく説明され、出席した社友会の方々も熱心に耳を傾けていました。

 先ずは、講演前日に行われた女流王座戦第1局のホットなスライド写真をもとに、タイトル戦に先立つ前夜祭から対局に至る流れや、将棋の様式美とも言える対局時の所作・マナー、伝統工芸品の域に達する将棋盤や将棋の駒、さらには、インド発祥とされる将棋の歴史にまで言及いただきました。

 また、指し手の読み合いとなる対局中のメンタル面について、将棋は頭脳スポーツといわれるように、脳が汗をかく感覚で、指し手を読めば読むほど時間の経過が判らなくなったり、いくら読んでも形勢判断が付かなくなることもあり、決断力が求められるとのこと。少なく読んで最善手を指すのがベストだが、やはり日々の研究や経験に基づく感性に頼ることになるそうです。

 最近の将棋ブームに関して、今年の「レジャー白書」では、将棋参加人口を700万人としているが、小中学生の増加を入れると、将棋連盟では1千万人程度と推計しているとのこと。デビューから歴代最多連勝記録を更新した藤井聡太七段の人気や、永世7冠を達成して国民栄誉賞を授与され、現在タイトル獲得数99期の羽生善治竜王の話題が背景にあるようです。

 今後の女流棋界について、これまで将棋界は男性社会であったが、女流棋士も当初の20名程度から現在70名近くまで増え、女流タイトル戦も現在6棋戦まで増加している。最近は女流棋士のレベルも上がっており、活躍のチャンスも確実に広がっていくとのこと。

 最後に、本日のテーマに掲げた「人生は一局の棋なり」は、将棋愛好家であった菊池寛の言葉で、「人生は一局の棋なり。指し直す能わず」と続く魅力的な名言であり、師匠の高柳名誉九段から教えられたそうです。正に、人生を真剣勝負の将棋に例えた含蓄のある言葉で講演を締めくくられました。

 清水女流六段には、是非とも現在進行中の王座戦でタイトル奪取を期待したいですね。

(関東地区幹事:斉藤正視)



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