行事報告

2018年10月04日 行事報告

2018年10月度関西地区社友会月例会行事報告

日 時 2018年10月4日(木)
場 所 丸紅大阪支社31階大会議室
講 師 大阪企業家ミュージアム 宮本又郎 館長
演 題 大阪経済の歴史的眺望 -伝統と革新の系譜-

 今回の講師は、元大阪大学経済学部長で現名誉教授・大阪企業家ミュージアム館長の宮本又郎様にお願いしました。実は6月19日開催予定の月例会での講演をお願いしておりましたが、前日に大阪北部地震があり、余震が懸念されることから中止となり、今回改めてお願いしたものです。

以下、講演の概要です。

①    大阪の成り立ちには4つの歴史的系譜がある。

   ・奈良時代の前に難波宮が置かれた、最古の都市・王都・政治都市。
   ・中世の大阪本願寺(浄土真宗)を中心にした宗教都市
   ・秀吉の大坂、武家の政権都市
     (その後の江戸時代は町人自治により全国経済の中心に=天下の台所=。
     しかし幕末の大名貸しの不良債権化などにより両替商が没落、人口も急減)
   ・近世・近現代は経済都市
    (五代友厚らによる大阪経済の再生。紡績業・電力・鉄道などの新事業が。
     第1次大戦後はグレーター大阪の時代で、人口も1925年には大阪府・市ともに日本一へ。
     都市のサラリーマン家庭向けの新消費財・洋風商品が登場。
     阪神工業地帯や堺・泉北工業地帯。また1970年の大阪万博による経済成長も)

②    大阪の特質

・不断に変貌する都市
 古いものを壊しながら新しいものを創り出す接木=つぎき=の思想、暖簾を守るために暖簾を付け替えるという柔軟さ 開放性と同化力 
 =革新は外からやってきた=    
 大阪の経済を発展させたのは中世・江戸・近世を通じて外からやってきた人々で、何れも大阪商人と呼ばれた。例えば鴻池・住友・五代・伊藤忠兵衛・松下など。
・市場経済原理の信奉と権力嫌い
・大量生産・大量販売    
・薄利多売、資本の回転重視、一方ブランド力弱く、多品種少量生産は不得手 文化
・学芸・教育の軽視?    
 近代の大阪はこれらに弱い? ただ昔は民活による文化・教育・公共施設の充実が図られていた。
・経済が先か文化が先か? 


 宮本氏は江戸末期の両替商の加島屋に嫁いだ広岡浅子がその後新事業により再建させた物語を描いたNHKの朝ドラ“あさが来た”の時代考証をされており、講演の合間には同ドラマの映像も取り入れられるなど、ユーモア溢れる講演となりました。

 (関西地区幹事:藤原 潤一)



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