今回の10月度月例会ではフリーアナウンサーの和田奈美佳様をお迎えし、ご講演いただきました。和田様は、東京音楽大学音楽学部声楽専攻修士課程独唱コースを修了。日本成人病予防協会認定健康管理士並びに漢方養生指導士の資格をお持ちになっておられ、さらには野球番組でMCを務めフリーキャスターデビュー。現在も野球実況やゴルフの実況などでご活躍されています。特にゴルフに関しては、事務所の先輩であるタケ小山さんがDJを務めるラジオ番組「GREEN JACKET」にて、「スポーツのツボ」というコーナーをご担当されています。
| 日 時 | 2025年10月8日(水)14:00~15:30 |
|---|---|
| 場 所 | 丸紅本社(竹橋) 4階 04A03会議室 |
| 講 師 | 和田 奈美佳 氏
(フリーアナウンサー) |
| 演 題 | 生涯元気で過ごすための秘訣 ~健康寿命を延ばすための食事と運動~ |
和田奈美佳氏の講演
健康関係の資格を取得したきっかけは、2つあります。1つ目は祖父が初期の胃がんになったこと。病気について正しい知識を身につけ、病気にならない体づくりや予防医学を学ぶために、健康管理士という資格を取得いたしました。もう1つは自身が倒れたことです。働きすぎのため睡眠が足りていませんでした。ちょうど年齢的にも30歳という節目を迎えており、この時に、もともと自分が持っている自然治癒力や生きる気力、活力、パワーを備えたく、漢方養生指導士という資格を取得しました。
健康寿命とは「自活できる期間」を指し、他者の手を借りず自分で食事・入浴・移動ができる期間を指します。これは、単に長生きすることではなく、生活の質を高めることを目的としています。この生きるパワーというものを、1年でも10年でも長く伸ばしていただくための方法や手段を皆さんにお伝えしたいと思います。
健康寿命を延ばすためには、健康への投資が不可欠です。具体的には、食事や運動、睡眠時間の確保における投資が挙げられます。
ではお金を多く使えば健康になれるのでしょうか。そうではないのですね。お金の使い方を少し変えてみませんか、ということです。例えば、晩酌のビールを3缶を週に1日だけ、ビールを2缶にしてみませんか。1缶分浮いたお金を、野菜のパックを買ったり、お惣菜に回したりしてください。この小さな投資ができますか、ということです。これは有意義なお金の使い方だと思います。
人生100年時代。100歳を迎えるときに寝たきりで迎えるのか、元気に迎えるのか、間違いなく後者が望ましいと思います。そのためには、投資が必要だということです。健康投資は、長期的な視点で考えることが重要です。日常的な小さな健康への投資が、将来的な大きな健康利益につながるのです。
生まれてから亡くなるまでの生涯の医療費は、だいたい2,700万円だと言われています。そのうちの6割が65歳以上の医療費です。男性は1,450万円、女性は1,703万円です。高いですよね。これが限りなくゼロに近づけば、セカンドライフにより多くのお金を使うことができます。そこで皆さんに目指していただきたいのが『健康の見える化』です。「健康」というキーワードは漠然としていますので、ゴールを決めていただきたいのです。おそらく病気のない体が欲しいという方が多いと思います。そのためには、自分で健康チェックをするのが一番早いです。これができるようになれば、病気とは無縁の体になります。
健康のチェックには、目で見る健康チェックと体の中の健康チェックがあります。
目で見る健康チェックでは、鏡を見てむくみやクマ、シミやシワなどの変化や口内炎がないかを確認します。これにより、日々の健康状態を簡単に把握することができます。
体の中の健康チェックとしては、血液検査が重要であり、特に空腹時血糖値、LDLコレステロール、血圧の三つの項目が重要であるとされています。これらの数値を定期的に確認することで、健康状態を把握し、必要な対策を講じることが求められます。
東洋医学に基づく「舌診」をご紹介します。舌の色や形、苔の状態を観察することで健康状態を把握する方法です。
(参加者が各自でスマートフォンを用いて舌の様子を確認)
色・形・ひび割れ・苔のつき方の4項目をご説明します。
【色】
赤・・・体温が高い(炎天下・発熱・熱中症の可能性)
紫・・・体温が低い(血行不良・強い冷え・心臓の疾患の可能性)
【形】
細い・・・エネルギー不足
むくみがある(歯形がついているなど)・・・水分の巡りが悪い。寝不足。
【ひび割れ】
水分不足。
【苔のつき方】
黄色・・・胃腸の疲れ
舌の奥に苔が溜まっている・・・腎臓の働きが低下。冷え。頻尿
◎舌の状態は毎日変化するため、日々の健康チェックとして活用することをお勧めします。
体の中は見えないのでメンテナンスは難しいのです。そのため専門の機関に行き、年に1回は体の中をくまなくチェックする人間ドックに通っていただきたいです。健康というハンコが押されれば、心も前向きに元気に生きていけるのです。ですので、心身の健康という観点から、人間ドックの受診を強くお勧めしています。
血液検査を通じて健康状態を把握し、必要な対策を講じることが求められます。特に、空腹時血糖値やLDLコレステロール、血圧の管理が重要です。
【空腹時血糖値】
何も食べていない状態の血糖値。炭水化物(ご飯、パン、パスタ、イモ類、砂糖)などが吸収されやすいブドウ糖に変化し、インスリンというホルモンと結びつき脳と筋肉の栄養になるが、多すぎると糖尿病の原因になる。
【LDLコレステロール】
『悪玉』とも言われる。基準値の中であればいい働きをする。この物質は細かい組織にコレステロールを運び、体を円滑に動かすサポート役を担う。ただ、これが基準値を超えると、血管の中に油の塊ができ血栓の原因になる。
【血圧】
血管の内側から外側に向かって強くかかる圧力を血圧と呼ぶ。例えば動脈硬化があった場合、血圧は上がる。血管の年齢が進み、血圧が高くなると血管が切れやすくなるため、脳内出血など様々な場所で出血を起こしやすくなる。
不規則な生活習慣が病気につながるため、規則正しい生活習慣の維持が重要です。生活習慣病の予防には、日常生活の中での健康管理が不可欠です。
【栄養素の重要性】
炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルの5大栄養素をバランスよく摂取することが大事です。
【炭水化物】
脳と筋肉の主要なエネルギー源であり、適量を摂取することが推奨される。過剰摂取は肥満の原因となるため、食事の際には適量を心がけることが大切。
【タンパク質】
筋肉や臓器の構成要素であり、健康的な身体を維持するために欠かせない。牛乳や豆腐など、低カロリーかつ高タンパクな食品を積極的に取り入れることが推奨される。
【脂質】
体全体を動かすエネルギー源として重要だが、種類によって健康への影響が異なる。固まりやすい脂質(バターやラード)は控えめにし、植物性のさらさらした油(オリーブオイルやごま油)を選ぶことが望ましい。
【ビタミン・ミネラル】
野菜を通じて摂取することが推奨され、1 日 350g の野菜を目標とされる。日本人は足りていない傾向があるので季節の野菜や果物を積極的に取り入れ、栄養バランスを整える。
また、食事の際には、五色(赤、緑、黄、白、黒)を意識した食事が栄養バランスを整えるとされています。
次に体を温める食べ物についてですが、土の中で育つ根菜類(さつまいも、人参、大根など)は体を温める効果があり、冬季に適しています。
一方で、夏野菜(ナス、トマト、キュウリ)は体を冷やすため、冬には控えることが望ましいです。また、発酵食品(味噌、納豆)や赤ワインは体を温める効果があるとされています。
【食事の工夫と飲酒の適量】
例えば、皆さんでランチに行ったとします。壁に「ごはん大盛り無料」と書いてあったら、皆さんはついついスッと引き寄せられていきませんか。この習慣は少し遠慮していただきたいと思います。毎回「小盛りがいいか」と言うわけではありません。週7日大盛りを食べていたら、週6日はその生活でよいですが1日だけ並盛りや小盛りにする。その小さな一歩が健康につながっていくのです。
次にお酒の適量について、少し見ていきたいと思います。これはお酒の席での一つの話題や題材になるかと思いますが、何事も平均値を知ることが大切です。適度な飲酒量は1日平均純アルコールでだいたい20gと言われています。具体的な例は以下の通りです。
・ビール5% ロング缶1本
・日本酒 一合
・焼酎25度 グラス半分
・チューハイ 缶1本
正直、少し超えているかもしれないという方もいらっしゃると思いますが、何事も平均値を知ることが大切ですので、節度ある適度な飲酒量を心がけていただければと思います。今日飲み過ぎたなという日は、翌日は少なくすればよいのです。別に休肝日にする必要はないという話です。
飲酒の影響を考慮し、適切な量を守ることが健康維持に重要です。
【水分補給の重要性】
水分補給は健康維持に不可欠です。10分に1回ペットボトルに口をつける習慣を身につけましょう。これにより体内の水分量を適切に保つことができます。水分補給は、血液循環を良くし、体内の老廃物を排出するためにも重要であり、日常生活での水分補給の習慣を身につけること重要です。
日常生活の中で意識的に立つ時間を増やし、こまめに体を動かすことをお勧めします。運動を日常生活に取り入れることが健康維持に重要です。例えば、15分に一度は立ち上がり、軽いストレッチや歩行を行うことで、日常的に運動量を増やすことができます。運動は、体力の維持やストレスの軽減にも効果的です。
実際にストレッチをやってみましょう。(参加者はその場で実践)
【肩甲骨体操】
・後ろに手を回し、一方の手を上から、一方の手を下から回し手が届くかをチェック
・肩の上に手を置き、大きく回す(肘で大きく円を描くイメージ)前後5回ずつ
・両手を90度に曲げ、そのまま肩甲骨をぎゅっと締める。5回
・手を後ろで結び、その状態で肩甲骨をぎゅっと締めて開く。5回
・ゆっくりと鼻から息を吸い、口からはきだす
◎肩甲骨を動かすと体温も上がってくるので、燃費が良くなります。明日筋肉痛になる人がいるかもしれません。
【睡眠の重要性】
睡眠は体のメンテナンスに不可欠であり、質の良い睡眠を取ることで、体の回復力を高めることができます。睡眠環境の整備や睡眠リズムの確立が健康維持に重要です。
日本人の平均睡眠時間は7時間51分ですが、特に60代以降は6時間程度であるとされています。健康を維持するためには、7時間51分の睡眠を目指し、寝つきが悪い時も横になる時間を確保しましょう。
【体を温める方法】
体を温めることも健康維持に重要です。水分を保つ特性のある腎臓は冷えやすいため、就寝時にズボンの中にティーシャツやトップスを入れて寝ることをお勧めします。体温は24時間変動しており、夜眠る時は体温が一番低い状態です。睡眠導入時は体を少し冷まさなければ眠ることができませんが、冷やしすぎると夜間頻尿にもつながるため、冷えから守ることが健康維持に繋がります。熱くなりすぎない常温のカイロは画期的で、睡眠時にもやけどしないのでおすすめです。
今日は、本当にいろいろな知識を皆さんにお伝えいたしましたが、これを全部は実行しなくても大丈夫です。何か気になったことから一つ始めてみませんか。そのきっかけづくりが健康寿命を延ばしていくことにつながりますので、ぜひ参考にしていただければと思います。
<質問1>
1日分の野菜が摂れるジュースや、ヤクルト1000を飲んでいたが、砂糖の含有量が気になるため摂取を控えてバナナを食べるようにしました。ジュースやヤクルトは良くないのでしょうか。
<回答1>
野菜ジュースやヤクルト1000については、適量であれば健康に良い影響を与えます。野菜ジュースには塩分が含まれていることがありますが、適度な量であれば問題ないと思います。特に、セブンイレブンの野菜ジュースは減塩されているものもあり、効率的な野菜摂取に役立つとと思います。また、ヤクルト1000は腸内環境を整える効果があるため、適度な摂取を推奨します。さらに、バナナは一番優先順位が高く、自然の糖質を含み、カリウムなどの栄養素も豊富であるため、毎朝1本のバナナを摂取することをお勧めします。
<質問2>
70歳を過ぎた後もジョギングを続けることに不安があります。ウォーキングに切り替えたほうが良いのでしょうか。
<回答2>
長年ジョギングを続けている方にはそのまま継続することをお勧めします。運動をしていない方が急にジョギングを始めると関節痛などのリスクがありますが、継続している方であれば問題ないと考えます。調子が悪い時にはウォーキングに切り替えることも良い方法であり、無理のない範囲で運動を続けることが大切です。
<質問3>
野菜は意識的に摂取をしているが、コメは玄米よりも白米の方が好きです。やはり玄米を食べたほうが良いのでしょうか。玄米と白米の差についても教えてください。
<回答3>
玄米にはビタミンやミネラルが豊富に含まれているため、白米とのブレンドでの摂取をお勧めします。おすすめの割合は、白米1.5合に対して玄米0.5合です。また、もち麦を取り入れることで、食感を楽しみながらビタミンやミネラルを摂取できます。
よく噛むことで消化吸収を助けるため、食事の際は20回ほど噛むことが望ましいです。