行事報告

2016年04月26日 行事報告

関東地区4月度月例会

日 時 2016年4月26日(火)
場 所 丸紅東京本社16階講堂
演 題 ~新日本フィルハーモニー交響楽団による弦楽四重奏演奏会~

 4月の月例会では、2013年10月に実施して好評を頂いた、新日本フィルハーモニー交響楽団のメンバーによる弦楽四重奏の演奏会を再び開催し、春もたけなわの午後のひと時、華麗なるクラシックの名曲演奏をお愉しみ頂きました。当日は、数名の準会員を含む、クラシック好きの100名を超える社友の皆さんにお集まり頂き、会場は大盛況となりました。


 新日本フィルは1972年に小澤征爾氏の下に結成され、97年に墨田区とフランチャイズ契約を結んで以来、同年完成した「すみだトリフォニーホール」を本拠地として、現代音楽やオペラ、映画音楽などにも取り組みを広げつつ、精力的な活動を続けています。
 今回の演奏会には、第一ヴァイオリンに崔文洙(チェ・ムンス)、第二ヴァイオリンにビルマン聡平、ヴィオラに井上典子、チェロに中西哲人(以上、敬称略)という、新日フィルの首席クラス・メンバーにお越し頂きましたが、特に、第一ヴァイオリンの崔氏は、94年にモスクワ音楽院を首席で卒業された後、同音楽院の大学院に進まれ、97年の帰国とともに、新日フィルのコンサートマスターに就任、現在は同交響楽団のソロ・コンサートマスターを務めるという重鎮であり、その演奏の芸術性は高く評価されています。


 演奏会は、お馴染みのモーツァルト作曲「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」の第1楽章で始まり、会場は一気にコンサートホールの華やかな雰囲気に包まれました。 その後、崔氏ご自身がマイクを持たれ、各楽器の紹介を頂くとともに、弦楽四重奏が室内楽の基本形であるといった説明も頂きました。ちなみに、崔氏が奏でる楽器は、1661年製のニコラ・アマティというヴァイオリンだそうですが、その音色の美しさ・力強さ、そして胴部の色つやなど、まさに目の覚めるような文化財でした。


 引き続き、同じくモーツアルト作曲の「ディヴェルティメント K138」が演奏されました。ディヴェルティメントというのは、18世紀に作られた、弦楽四重奏用の室内楽のことで、主として貴族や富豪が自宅で開くお祝いの宴席などで奏でられる音楽でした。モーツアルトは多くのディヴェルティメントを作曲していますが、このK136から138に至る3部作は、通常のディヴェルティメントとは少し様式の異なる作風であったため、モーツアルト自身はこれをディヴェルティメントとは呼ばなかったようです。もっとも、これらは作者が弱冠16歳の時の作品ということもあり、最も有名なディヴェルティメント作品とされています。
 その後、10分間の休憩を挟み、後半の第1曲目は、ハイドン作曲の「セレナード」でした。短めの曲ですが、馴染みのあるメロディで、会場内は「癒し」のムードに包まれました。


 プログラム最後の曲は、同じくハイドン作曲の弦楽四重奏曲 ニ長調 「ひばり」でした。「ひばり」というのは、必ずしもハイドンが名付けたものではないそうですが、冒頭のひばりのさえずりに似たヴァイオリンの音色や途中のひばりが空中高く舞い上がるようなメロディには、この曲が「ひばり」たる所以を感じました。そして、この曲がフィナーレに差し掛かる頃には、会場内は優雅で華麗なコンサートホールの空気に満ち溢れ、演奏を楽しむ社友の感動が伝わってくるようでした。


 今回は、アンコールとして、映画音楽の「ニュー・シネマ・パラダイス」を弦楽四重奏ヴァージョンに編曲したものとモンティ作曲の「チャルダッシュ」の2曲をお聞かせ頂きました。特に、最後の「チャルダッシュ」については、哀愁を帯びた旋律に始まり、後半の第一ヴァイオリンの超絶技巧に至る、躍動感溢れる演奏は、まさに感動的でした。


 今回の演奏会では、アットホームな雰囲気の中にも爽やかで楽しいクラシック音楽を心ゆくまで堪能させて頂きました。会場には女性の参加者も目立ち、普段の雰囲気と少し異なる、気品漂う優雅な社友会月例会となりました。




(文責:市村 雅博)


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