日 時 | 2015年4月13日(月) |
---|---|
場 所 | 丸紅大阪支社2階講堂 |
講 師 | 拓殖大学客員教授 石平 氏 |
題 目 | 中国の国内情勢と日中関係の今後 |
今回は、現代中国問題の専門家で、テレビ等でもおなじみの、石 平 氏をお招きし、我々の日頃の関心事である中国の現状とその行方について大変興味深いお話をして頂きました。
1) 中国の経済事情
中国経済の成長率は、2009年をピークに下がり続けており今年に入ってもその傾向は変わっていない。過去の成長は、構造的な消費不足に悩まされる中、二台の馬車、つまり輸出と投資に支えられてきた。しかし、度重なる財政支出と金融緩和策はインフレと不動産バブルを引き起こした。インフレは労働コストの上昇に繋がり輸出の減少を招き、そして、インフレ対策により投資も減り二台の馬車による高度成長体制は終焉状況と考えられる。更に、シャドーバンク問題の危うさや不動産バブル崩壊の兆しは中国経済の衰退と混乱を予感させる。
2) 習近平政権の行方
習政権は、対内的には、権力闘争に於ける自己の基盤固めと共に、経済成長に伴い拡大した貧富の格差のため悪化した民衆感覚を改善すべく両刃の剣とも言える「腐敗撲滅運動」を展開している。一方、対外的には、「民族の偉大なる復興」スローガンを掲げ、日本に対しては歴史の清算を求め、かつ、過去の栄光を取り戻しアジアの頂点に立つ秩序を構築しようと過去の政権には見られなかったタカ派的色彩を強めている。
3) 日中関係の今後
尖閣問題は習政権政策の一環であり、今後、軍事的威嚇行為は増長すると考えている。
歴史問題は、日本の謝罪にも拘らず高まることはあっても沈静化は考えられない。従い、対立関係は長期化すると予想される。
しかし、中国も経済面での関係悪化は望んでおらず、日本にとっては、リスクの大きな事には余り深入りせず上手に付き合って行くことこそが得策と考える。
(文責:羽場 知廣)