行事報告

2015年04月20日 行事報告

関東地区4月度月例会

日 時 2015年4月20日(月)
場 所 丸紅東京本社16階講堂
講 師 吉田類氏
演 題 「酒場詩人の流儀」

 2015年度第一回目となる今回の講演会は、BS-TBSの人気番組「酒場放浪記」の案内人として有名な、酒場詩人、吉田類氏をお招きして、お酒にまつわるお話はもちろんのこと、吉田流の自然体の極意についてお話し頂きました。空模様が下り坂に向かう中、お酒をこよなく愛する(と思われる?)社友を中心に、約100名の聴衆で講堂は大盛況となりました。


 講演に先立ち、司会者より、昨年末開催された「酒場放浪記 似顔絵コンテスト」において、当社社友である金子侃夫氏(1960年入社)のご子息が最優秀賞を獲得したというエピソードの紹介があり、これには、講師である、吉田氏からも何だかご縁を感じるとのコメントがありました。


 さて、吉田氏は今でこそ酒場詩人として超有名人でありますが、そもそもは、画家、イラストレーターとしてのキャリアを積まれ、フランスを中心に欧州で活躍されていた時期もありました。帰国後、日本の自然の美しさに目醒め、俳句会「舟」を主宰するほか、新聞・雑誌での執筆活動や全国各地で講演活動も続けておられます。
 「酒場放浪記」をご覧になっている方はよくご存知だと思いますが、吉田氏のトレードマークである、ハンチングに黒ずくめの服装で登壇された氏は、旅と自然、そしてお酒を愛する、酒場詩人の流儀について、テレビの中の氏と同じざっくばらんな語り口そのままにお話を始められました。まずは、お酒のコミュニケーションツールとしての効用や美肌効果などについて語られ、さらには、「酒場放浪記」の視聴者層の拡大、特に若年齢化と国際化の動きについて、自信と誇りを持って強調されました。「酒場放浪記」は、放送開始から下町の大衆酒場を紹介し続け、すでに12年が経ちます。当初はご自分と同年代の中高年が視聴者層の中心であろうと予想されたそうですが、最近は年代が大きく広がり、子供までもが大人と一緒に視聴しているらしく、学校や幼稚園で腰の後ろに手をやって歩く、氏独特の歩き方をしてみたり、ジュースで乾杯したりという「類ごっこ」という現象まで見られるそうです。各地の講演会でも家族連れの聴衆が増えているとのことでした。また最近は、テレビ、ビデオ、雑誌などを通じて、日本の大衆酒場ブームがどんどん国際化しており、来日した外国人のグループで各地の大衆酒場が賑わっているそうです。なぜ大衆酒場を紹介するこの番組がこんなにも支持されているのかというと、そこではお酒を介して日本の大衆文化が伝えられているからではないかと思われます。同番組では、毎回、いわゆる「大衆酒場」を紹介していきますが、どの店に入っても、見ず知らずの人々が酒と肴を楽しみながら、コの字型のカウンターや小さなテーブルに座って、いつの間にか会話を始め、酒を酌み交わすという光景が何度も出てきます。これは間違いなく日本の大衆文化のひとつです。その潤滑剤としての大きな役割を大衆酒場のお酒が担っていると言えるでしょう。


 氏は番組収録の日には、少なくとも2升は飲むそうですが、それでも翌朝は4時に起床し、山登りをしたり、運動をしたりして、二日酔いの経験は一度もないとのことです。腕立て伏せや幅跳びなどにストイックに取り組むなど、健康管理には十分気を配っているようです。旅と酒を愛し、ともに若くして世を去った歌人、若山牧水や氏の郷土、高知出身の大町桂月を例に挙げ、彼らのように、食事を摂らずもっぱら酒を飲むだけというのは身体に悪いと言い、しっかり食事を摂りながら飲むというのが健康の秘訣と語ります。酒に頼りすぎてはダメで、友達として距離を置いて付き合うのが大事というのが、氏にとっての飲酒の極意とお見受けしました。何よりも好奇心旺盛で、ストレスを感じることなく人との触れ合いを楽しみ、美味しい酒と肴を頂く、そんな自然体で人生を送ることの幸せは、今さら言うまでもありません。


 講演の最後に、氏がこれまでに撮りためた昆虫や動物の写真がスライドで紹介されました。そこには、自然に触れながら動植物の写真を撮ることで、特に昆虫など小動物に対する愛情が感じられ、氏の人柄がにじみ出ているようでした。


 とにかく人並みはずれた酒豪の吉田氏でありますが、休肝日はあるのかという社友からの質問に対し、「ビール中ジョッキ3杯までは休肝日」という回答をされ、会場から驚愕まじりの大きな笑いが起きました。お酒が大切なコミュニケーションツールであることは確かですが、鋼鉄の肝臓をお持ちの吉田氏のマネをしていると、普通の人はちょっと大変なことになりそうです。くれぐれもほどほどに、いつまでも美味しいお酒を楽しみたいものです。




(文責:市村 雅博)


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