行事報告

2014年11月19日 行事報告

中部地区11月度月例会

日 時 2014年11月19日(水)
時 間 17:00~19:00
場 所 名古屋支社 9階会議室
講 師 山下 健二郎氏
保険薬剤師、食品保健指導士(浜松在住)
保険薬剤師は全国に790名しかいない

<演題> 「食と薬の健康講座 知らないと怖い サプリメント」
気温15度とはいえ、快晴に恵まれ、それほど寒さを感じさせない日和で、会員の参加者25名及び現役3名の参加があり、今回の演題が日頃テレビ・新聞等で目にするサプリメントについての内容で、健康食品だからと安易に飲んではいけないことを出席者の方々は十分ご理解いただいたのではと思います。


講演概要


1.  薬の区分け


医薬品(処方薬) 医薬部外品(一般薬)
病気の治療が目的 病気などの予防が目的
国が決め、認める 厚労大臣が指定
強い効果・強い副作用 弱い効き目・弱い副作用

2. 薬と食品の違い


医薬品 食品(食物)
病気や体の不具合を治す 体を造り、健康を保つ
成分やその量がはっきり 体を造り、健康を保つ
専門家が使用を決める 誰もが自由に摂取できる
「○○に効く」表現が可 「△△に効く」表現は不可

3.  医薬品と健康食品の3つの違い


医薬品 健康食品
製品としての品質が一定 同じ製品でも品質が一定でない
病気の人が対象 健康な人が対象
医師・薬剤師の管理下で利用 選択・利用は消費者の自由

4. 健康食品の大まかな分類
特別用途食品:個別許可の食品
       病者用、高齢者用、妊産婦用、乳児・小児用
特定保健用食品(トクホ):個別許可の食品 保健機能が表示できる
             許可された効能・効果を期待し、保健用としてとる食品
栄養機能食品:規格基準の食品、届出・審査は不要
       一日に必要な栄養成分の不足分を補うための食品、ビタミン・ミネラル
一般食品(いわゆる健康食品 サプリメント):企業の自己責任で国の審査はなし
                     保健機能や効果の表示はできない
                     栄養成分の含有表示をした食品の一成分(呼び名はいろいろ)


5. トクホ 特定保健用食品
5-1. 消費者庁が許可した、根拠のある、体の調子を整える働きのある成分を含む食品であるが、治療薬ではない
5-2. 消費者庁の許可は、健康に対する働きと、健康に関わる使い方の表示で、
   具体的な宣伝・広告ができる食品(一般の食品は薬の様に効く・治すといった表示や広告は法律で禁止)
5-3. 消費者庁の許可食品(トクホ)には、必ず認証マークとしてのトクホマークがついている
5-4. <トクホ>でも、一度にたくさん食べたり、それだけを偏って食べ過ぎるとかえって害になるトクホでも、
   病人用の食品ではない


6.  栄養機能食品
体の調子を整え健康を維持する働きのある食品
一日に必要な栄養成分の不足を補うための食品
問題点―表示できるビタミンやミネラル以外の成分を強調している製品がある
    国への届け出や審査は不要のため、製造者の自己認証により表示している


7. サプリメントの真実
7-1. 殆どのサプリメントには体への効く・治す・改善の違法的表現が著しい
7-2. 通販品・輸入品が多く、形状は錠剤やカプセルが多く、取りすぎる恐れが大
7-3. 宣伝・広告は、誤認・虚偽・誇大な違法的表現が多い(まず信用しないこと)
   テレビ画面の四隅・広告に、小さな字で表現・記載しているだけ
7-4. グルコサミンは化学構造上ブドウ糖と同じで、小腸で吸収され、血糖を増加させる
7-5. ヒアルロン酸は消化され、ヒアルロン酸でなくなり、多量摂ると下痢などが起こる
7-6. コンドロイチンは牛乳を摂ったときと同じで、牛乳で下痢をする人は下痢を起こす
   サプリメントは医薬品ではない。天然だからといって、すべて安全ではない。
   トクホ以外のいわゆる健康食品は当てにならない。


8.  日本経済新聞(2014年7月20日付) “がん社会を診る”の記事に下記記載あり。
がん患者の4割強がサプリメントを使用
ビタミン・ミネラル等のサプリには健康増進効果はなく、十分な栄養を取っている人にはむしろ害である。
βカロチンをサプリとして摂ると、かえって肺がんが増える。


9. まとめ
9-1. 製造販売者の情報を鵜呑みにせず、有名な学者の話であっても、商品の販売促進を意図した情報には注意
9-2. 医薬品との違いを認識し、病気の治療目的には使わない
9-3. 健康の基本はバランスのとれた食事と運動
   多くの人々がサプリメントを優良誤認し、間違った使い方をしている現状を間の目の当たりにして、
   医療従事者の一員として黙認できない。


以上が講演の骨子です。
予定時間を延長しての講演となりましたが、その後、質疑応答に移り、出席者の方々より活発な質問があり、
山下様も分かりやすい内容で答えたり、差支えのない範囲での説明をいただきました。
出席者のみなさんも講演内容・レジメを参考にされ、正しい薬の使い方をすべきとのご認識をされたことと思います。

尚 山下健二郎氏へ連絡をご希望の方は電話・FAX 053-434-3076
またはメール kjry@syd.odn.ne.jp まで、していただければとのご了解をいただいております。

次回の新年互礼会(2015年1月予定)での再会を約束し、例会終了いたしました。






(文責:龍田 陽)


行事情報トップページへ