日 時 |
平成22年4月26日(月) |
場 所 |
東京本社16階講堂 |
講 師 |
河野洋平前衆議院議長 |
演 題 |
衆議院議長を辞めて昨今の政治に思うこと |
講演会当日は久しぶりの好天にめぐまれ、約200名の社友が出席し会場は満員になりました。河野先生は昭和34年早稲田大学をご卒業になられ、丸紅(当時は丸紅飯田)に御入社されたことは皆様御承知の通りです。
講演会前の朝田社長を交えての昼食会では、丸紅在職当時の思い出話などに花が咲きました。
また、講演会終了後出席していた同期入社の十数人の社友が先生を囲み談笑されていたのが印象的でした。
河野先生を講師にお迎えするに当たり社友の副島様にお力添えをいただきました。短い時間のため 河野先生ご自身も「準備したものを全部お話しできなかった」と残念そうでしたが、講演内容が多方面にわたり全てを御披露でないので、主要ないくつかのポイントの要旨をお伝えします。
講演会講演要旨
- 最近、“日本はこれで大丈夫か?”と聞かれるが、日本は文化、芸術、学術あるいはスポーツなどの分野では長い間の蓄積があり質的レベルも高く、世界からも尊敬され注目されていて捨てたものではない。問題は経済と政治で、GNPのランクが小泉政権のはじめ頃2~3位だったのが最近は23番目に落ち、なんとかしなければと思うのに新しい政権になってかえって先行きが不安になったのが心配だ。今の政権は自民党の時の経済財政諮問会議のような軸になるものをやめてしまい、経済はどこへ行くのかわからなくなった。
- さらに政治は困った状況にある。自民時代も外交では日中関係など少々問題もあったが、現民主党政権では日米関係は全く危ない場面に来ている。税の無駄使いを止めようというのはいいが、小沢・鳩山さん自身の多額の税のごまかしがあってもう一つうまくゆかない。税金を納めないで何に使ったか。小沢さんは権力は一か所に集めねば駄目だという。議員の数が力だと考えるあまりにも田中的、金丸的で自民党的な悪い点を引き継いでいる。頂点に立ったものの政治的資質が問題。
- 政治主導にはいい面もあるが大きな官僚組織が政務三役などわずかの政治家に振り回される現状はこれでいいのか。政権交代はあるべきことであるが、問題は代わり方、特に変わってからのビヘイビアがなければならない。民主党はマニフェスト選挙だが、実効性には疑問のものもあり、これでいいのかと思う。市長・知事選挙ではマニフェストもいいが国政では疑問。私も小選挙区制導入は一方に雪崩れる日本人の国民性から問題ありと思っていたがやはり出てきた。政策に大きなブレが生じているが政治には継続性が必要、特に外交には。
- 私は新党の草分け的存在だといわれ、今の新党ブームはどうかと聞かれるが、今とは全く状況が異なる。当時の自民党は与党で永久政権といわれた。今は野党から飛び出しているが、与党を利するだけだ。野党が時の政権を叩こうと思うなら根本的に間違っている。
- 今の政界については品格ということを考えてほしい。尊敬され信頼される政治家に出てきてほしい。大平首相は若手に「スペシャリストもいいが、政治家は全体を見て調整能力のあるゼネラリストになることが大事だ。神を畏れ自然を畏怖する心が必要」 と説いた。今のリーダーがいかにも薄っぺらで著しく成熟度が足りないのが残念である。
- (会場からの質問に答えて、小泉首相と橋本首相を比較しながら)総理大臣の資質としては自制心が必要。何をしなければならないかということと同時に何をしてはいけないかをよく考える人でなければならない。
朝田社長を交えての昼食会
同期入社の社友と共に
以上 (文責 左右津)